経済基盤が安定すると、人は心に余裕を持ち、豊かな人生を送れることを多くの大家を取材して強く感じたという。1万人の大家を取材してきた著者が、サラリーマンの定年後に毎月着実に家賃収入を得ることができる不動産で資産を増やす方法を伝授する。本連載は賃貸不動産オーナー向け経営情報誌「家主と地主」の編集長の永井ゆかり氏の著書『1万人の大家さんの結論!生涯現役で稼ぐ「サラリーマン家主」入門』(プレジデント社)から一部を抜粋、再編集した原稿です。

購入前にリスクを回避する建物診断を

近年は「ホームインスペクション」と呼ばれる建物診断が注目を集めている。アメリカでは、不動産取引時に行うことが義務化されている。日本でも、2018年4月から、中古住宅の売買時に、不動産業者がホームインスペクションについて買主や売主に対して説明することや、ホームインスペクション業者(住宅検査事業者)を紹介・斡旋できるか告知することが義務化された。ホームインスペクションは有料だが、ホームインスペクションを行っていない建物の場合は、自己負担してでも行った方がいい。買う前に問題の有無が明確になり、リスクを回避することができるからだ。

 

永井ゆかり著『1万人の大家さんの結論! 生涯現役で稼ぐ「サラリーマン家主」入門』(プレジデント社)
永井ゆかり著『1万人の大家さんの結論! 生涯現役で稼ぐ「サラリーマン家主」入門』(プレジデント社)

また、古い建物を安く購入するときには、「瑕疵担保責任」についても知っておくべきだ。「瑕疵」とは、使用上、当然有しているべき性能などを欠く状態をいう。

 

例えば、シロアリ被害や雨漏りなどだ。売買の目的物に、買主が発見することのできない「隠れた瑕疵(欠陥)」があるときは、買主は売主に対し、損害賠償や契約の解除を請求することができる。

 

瑕疵担保責任期間は、売主が個人の場合は、通常引き渡し後2〜3カ月、売主が不動産会社の場合は2年以上となっている。しかし、買主は、この「瑕疵担保責任」があるから安心だと思ったら間違いで、こうした欠陥が期間を超えて発見されると、そもそも瑕疵があったのか、経年劣化が原因なのかが判別しにくいため、売主の責任を追及できないこともある。そのため、ホームインスペクションが推奨されるのだ。

 

一方、「瑕疵担保責任免責」というものもある。築年数が古い中古物件の場合、個人が売主の場合は、そのままの状態で売るため、その後は何があっても買主の自己責任であり、売主は瑕疵担保責任を負わないというもので、あえて売主の瑕疵担保責任を不動産売買契約書の特約により無効にして、価格交渉の切り札にするケースだ。いずれにしても、建物が古いということは、建物自体にリスクがあることを知っておくべきだろう。

 

2020年4月から改正される民法では、「瑕疵担保責任」という名称が「契約不適合責任」に変わる。買主は解除、損害賠償以外に、追完請求(修補、代替物引き渡し等)や代金減額請求ができるようになる。

 

さらに、古いアパートや一棟マンションで気をつけなくてはいけないのは、退去が発生したときだ。購入当初は、空いている部屋のリフォーム費用を予算として組み入れて収益性を考える。

 

ところが、購入後、退去が発生すると、退去した部屋もそのままの状態では貸しにくいことから、リフォームをする必要が出てくる。この退去のタイミングが重なると、予想していなかった出費がかさみ、たちまちリフォーム費用が足りなくなる。

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    永井 ゆかり

    プレジデント社

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