新型コロナウイルスの感染拡大によって不動産の世界は激変している。景気後退が叫ばれ、先行き不透明感が増すなか、日本経済はどうなるか、不動産はどう動くのかに注目が集まっている。本連載は、多くの現場に立ち会ってきた「不動産のプロ」である牧野知弘氏の著書『不動産激変 コロナが変えた日本社会』(祥伝社新書)より一部を抜粋し、不動産の現状と近未来を明らかにする。

大雪が降っても電車が止まっても会社に行く

日本人の働き方はこの50年ほどの間で大きく変化しました。1969年就業者は5040万人だったものが50年後の2019年には6724万人と約1700万人増加しています。いっぽう雇用者は3199万人だったのが6004万人、なんと2800万人も増えています。就業者に占める割合は63.4%から89.3%へ。今や就業者の約9割が雇用者なのです。

 

もう少し詳しく見てみましょう。19年においては自営業者や家族労働者数は675万人ですが、10年前には800万人もいました。また役員を除く雇用者のうち正規雇用者3503万人、非正規雇用者は2165万人です。同じく10年前は正規雇用者3380万人、非正規雇用者1721万人です。この10年間の雇用者数の伸びは、そのほとんどが非正規雇用者の伸びで支えられていたことがわかります。

 

テレワークに向いている人と向いていない人がいる。(※写真はイメージです/PIXTA)
テレワークに向いている人と向いていない人がいる。(※写真はイメージです/PIXTA)

 

結論を言います。日本の就業者のほとんどがサラリーマンになったということです。長らく政権与党の座に留まっている自民党は、以前は農家の票田を大切にし、都市よりも地方に政策の重きを置いてきました。ところが最近の政策を見ていると、地方よりも大企業を優遇するものが目につきます。そして大企業を頂点としてピラミッドをなす企業の雇用者たち、つまりサラリーマンを支持者にしています。明らかに票田を変えてきているのです。

 

サラリーマンになる、というのが日本では最もポピュラーな生き方になりました。しかしこれまでのサラリーマンの生き方というのは、一意専心会社のために尽くすのがその働き方だとされてきました。そして会社から言われたことは絶対であり、会社の決めたルールに従って仕事を行なう、会社が多少ルール違反をやっていても見て見ぬふりをする、あるいは一緒になって隠蔽してしまうといったことも、普通に行なわれてきました。

 

サラリーマンとして恙(つつが)なく生きるということは、生活の上ですべての場面で、会社を優先することだと、言われました。その典型が毎朝必ず定時までに出社することです。大雪が降って電車が止まっていても、日本のサラリーマンはとにかくどんな手段を使ってでも会社にたどり着こうとします。

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不動産で知る日本のこれから

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牧野 知弘

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