大雪が降っても電車が止まっても会社に行く
日本人の働き方はこの50年ほどの間で大きく変化しました。1969年就業者は5040万人だったものが50年後の2019年には6724万人と約1700万人増加しています。いっぽう雇用者は3199万人だったのが6004万人、なんと2800万人も増えています。就業者に占める割合は63.4%から89.3%へ。今や就業者の約9割が雇用者なのです。
もう少し詳しく見てみましょう。19年においては自営業者や家族労働者数は675万人ですが、10年前には800万人もいました。また役員を除く雇用者のうち正規雇用者3503万人、非正規雇用者は2165万人です。同じく10年前は正規雇用者3380万人、非正規雇用者1721万人です。この10年間の雇用者数の伸びは、そのほとんどが非正規雇用者の伸びで支えられていたことがわかります。
結論を言います。日本の就業者のほとんどがサラリーマンになったということです。長らく政権与党の座に留まっている自民党は、以前は農家の票田を大切にし、都市よりも地方に政策の重きを置いてきました。ところが最近の政策を見ていると、地方よりも大企業を優遇するものが目につきます。そして大企業を頂点としてピラミッドをなす企業の雇用者たち、つまりサラリーマンを支持者にしています。明らかに票田を変えてきているのです。
サラリーマンになる、というのが日本では最もポピュラーな生き方になりました。しかしこれまでのサラリーマンの生き方というのは、一意専心会社のために尽くすのがその働き方だとされてきました。そして会社から言われたことは絶対であり、会社の決めたルールに従って仕事を行なう、会社が多少ルール違反をやっていても見て見ぬふりをする、あるいは一緒になって隠蔽してしまうといったことも、普通に行なわれてきました。
サラリーマンとして恙(つつが)なく生きるということは、生活の上ですべての場面で、会社を優先することだと、言われました。その典型が毎朝必ず定時までに出社することです。大雪が降って電車が止まっていても、日本のサラリーマンはとにかくどんな手段を使ってでも会社にたどり着こうとします。