「会社ファースト」から「生活ファースト」に
やがて夫婦の間で話題となるのが、水道光熱費が跳ね上がっていることです。今まではすべてオフィスの中で仕事を行なう限り、自分が負担することもなかったのが、なんで自分が負担しなければならないのか。経理に明るい人であれば、持ち家である自宅をオフィスとして使っているのだから、自宅の構造軀体や設備の一部について減価償却を認めるべき、などと考え始めます。
会社といくら回線上でつながっているとはいえ、オフィスに居ずにやり取りをしているだけとなると、次第に会社の内側のことに気が回らなくなります。つまり部長と課長とが仲が悪いとか、同僚に嫌な奴がいて顔を合わせたくないなどといった、毎日社内で起こる些細なことがまったく気にならなくなります。会社に対するロイヤリティーが確実に下がるのです。
自分が住む街の風情にも関心が湧きます。今までは駅までの通勤路を行き来するだけの毎日。週末も車で遠出したり、近所のスーパーに買い物に出かけたりする程度にしか街を見ていなかったのが、気晴らしに散歩する。昼の間に商店街で買い物をする。自宅周辺に住む人たちとすれ違う。街がまったく異なる姿で見えてきます。
そうです。自分が住む街が、これまでの「寝る」ためだけの街から「働く」こともする街に変わったのです。自分が住む街で働けば、街にどんな人たちがいて、日中何をしているのか観察できます。日頃は朝晩と週末だけしか顔を合わせなかった、妻あるいは夫と過ごす時間が長くなります。そして一日の大半を街で過ごすことで、街の住み心地が実感としてわかってきます。
これまでの「会社ファースト」だったライフスタイルが、ポスト・コロナの時代には「生活ファースト」のライフスタイルに変わっていくのです。
牧野 知弘
オラガ総研 代表取締役
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