「自分たちは同じ被害者だ」信じ切ったAさんの地獄
その送り主は自らも被害者だと名乗る団体。インターネット上にはホームページが開設され、問題解決のプロ集団であると謳われていました。同じ痛みを抱えた相手という信頼もあり、Aさんは電話をかけ、相手の求めるままに面談をしました。
そこで面と向かって「自分たちは同じ被害者であり、この団体はスマートデイズで物件を購入したオーナーたちが中心になって組織されている」と強調され、完全に気を許してしまったのが失敗でした。
その後、彼らは「対策は一刻も早いほうがいい」「今ならまだすべて取り返せる」などとAさんを説得しました。そして最後に、「交渉の役目は自分たちが担うのでAさんは何もしなくていいが、それには費用がかかる。これで億のお金が返ってくるのだから、必要経費と考えて欲しい」などと言ってきたといいます。
そこで出てきた「コンサルタント業務契約書」には「コンサルタント契約の費用」として団体に200万円を支払う旨が記載されていました。完全に信じ切っていたAさんは、指定の口座にその金額を振り込んでしまいます。するとそこから、その団体との連絡は途絶え、いつの間にかホームページも削除されていました。
完全に詐欺事件なのですが、団体そのものの実体がなく、いったい誰が詐欺の首謀者であるか特定できないこともあり、Aさんの200万円は戻ってくることはないでしょう。
※本記事は書籍『不動産投資業者のリアル』を抜粋したものです。
藤本 好二
ウィステリア・グループ株式会社
会長兼代表取締役社長