投資家震撼「かぼちゃの馬車事件」のインパクト
不動産投資業界を最も騒がせた問題といえば、間違いなく「かぼちゃの馬車」にまつわるトラブルでしょう。2014年4月から、「かぼちゃの馬車」というブランド名の女性向けシェアハウスを、首都圏を中心に展開してきた株式会社スマートデイズがその震源地です。
スマートデイズを巡っては、同社と結託して物件の営業に関わっていた販売会社による物件購入者の預金通帳の改ざんや、物件の施工会社による販売会社へのキックバック、トンネル会社を使った資金環流など、さまざまな不正行為が発覚しました。
2018年1月には経営危機を理由に、シェアハウスの購入者に保証していた賃借料の支払いを停止し、訴訟にまで発展。そして4月9日、東京地裁に民事再生法の適用を申請しましたが、18日にその申請は却下され、破産しました。
そのあおりを受けたのは、投資家です。1億円前後という価格でシェアハウスを購入した投資家は、家賃を長期保証してくれるはずだったスマートデイズの破産により、億を超える債務を抱えることになりました。なかには複数の物件を購入し、2億円以上もの借金を背負った人もいるといいます。
スマートデイズは2012年の設立ながら、短期間に販売代理店網を確立して急成長し、5年で売上高300億円を超える企業にまで成長してきました。その成長を支えたのが、「かぼちゃの馬車」に代表されるサブリース事業でした。
サブリースとは、オーナーが建てたアパートやマンションを不動産管理会社などが一括で借り上げ、それを転貸するというスキームで、いわゆる「又貸し」にあたります。一見すると、サブリース業者がすべての部屋の家賃を保証することで、空室のリスクが回避できるように思えるかもしれません。サブリース業者のなかには、「30年一括借り上げ」など長期にわたる家賃保証を謳うところもあり、それも安心感を醸成しています。