「かぼちゃの馬車」事件で不動産投資ブーム、終結。ウィステリア・グループ株式会社の代表である藤本好二氏は、書籍『不動産投資業者のリアル』(幻冬舎MC)にて、新築1R業者・客付仲介会社・管理会社・買取販売会社をはじめ、ブームの陰で暗躍していた「極悪な業者」の実態を大暴露している。黒幕は、スマートデイズか、スルガ銀行か。それとも…。

老後資金のために「2.1億円」を借りたオーナーの末路

Aさんがスマートデイズと契約したのは、老後への備えが目的でした。銀行にお金を預けても資産が増えることはない。しかしだからといって株やFXに手を出すのはリスクが大きい。そこで中期的な投資として不動産投資を検討している際に、スマートデイズからの紹介を受けました。

 

当時は、シェアハウスへの投資が注目されていたこともあり、相手の説明するメリットにばかり目がいき、結果として都内に約2億円もの物件を購入してしまいました。Aさんが締結したサブリースオーナー契約は、以下のようなものでした。

 

借入金:2.1億円(全額フルローン)

金利:3.5%

保証賃料:月122万円

管理費:月9万円

手取り収入:113万円

金融機関への支払い:月100万円

毎月のキャッシュフロー:13万円

サブリース保証賃料:5年ごとに見直し

 

これだけ見れば、月に13万円の利益が上がり続けるように思う人もいるかもしれません。しかし実際は、この段階ですでに将来の赤字が確定しているような契約内容といえます。

 

まず、ここには固定資産税が加味されていません。都内で約2億円の物件ですから、どんなに低く見積もっても固定資産税だけで毎年50万円は必要になります。年間のキャッシュフローの合計は156万円ですから、実に3分の1が固定資産税の支払いに充てられることになります。その段階で、年間の利益は106万円まで目減りします。

 

そして、サブリース契約そのものは30年となっていますが、賃料が5年毎に見直しがかかるという点にも注意が必要です。仮に原状回復や客付け費用が一切かからないとして、契約してから5年間は106万円の収入がありますが、その後の契約更新では、間違いなくサブリース保証料が下がります。

 

日本人は新築物件好きであり、新築に対してはプレミアムな価格を支払ってもいいという傾向がありますが、その反面、築2年目となった物件の価格の下落も大きく、家賃を5%も下げないと客が付かないというケースもよくあります。Aさんが購入したのは、家賃相場が比較的安い足立区で、さらに駅から徒歩15分と立地も悪い物件でした。

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不動産投資業者のリアル

不動産投資業者のリアル

藤本 好二

幻冬舎メディアコンサルティング

「かぼちゃの馬車」事件で不動産投資ブーム、終結。 新築1R業者、客付仲介会社、管理会社、買取販売会社。ブームの陰で暗躍していた「極悪な業者」の実態を大暴露。

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