「助けてください」甘い罠で騙されるサラリーマン続出
■サラリーマンを狙う悪徳「1R業者」
新築の賃貸マンションやアパートが増え続けています。国土交通省の統計では、2017年上半期(1~6月)の新設住宅着工戸数は、前年同期比より2.1%増の47万3206戸で、3年連続のプラス。その内訳を見ると、マンションやアパートを建設する「貸家」が前年比4.7%増の20万1580戸となっています。
その人気の陰で暗躍しているのが、悪徳新築1Rマンションデベロッパーです。
新築デベロッパーとは、土地を仕入れて建物を建て、それを販売して利益を上げる業者であり、業態としては古くから存在しています。こつこつとまじめにやっている会社もあるのですが、悪質なところはとにかくひどい有様で、関われば必ず損をします。
そのなかでも1Rマンションを専門に扱う「1R業者」には注意が必要です。とにかく儲けることしか考えておらず、その営業手法は法律違反すれすれで、騙される投資家がたくさんいます。
彼らが狙うのは、金持ちではありません。現金をさほど持っていないサラリーマンを主なターゲットにしています。そしてまた、「1Rを買いたい」という投資家はあまりいないため、「そもそも興味がない、買いたくない」という人をあえて攻めるのです。
1R業者は1日に数百件も電話をかけまくり営業を行いますが、その他の手口の一つには古典的な「美人局(つつもたせ)」もあります。
可愛らしい女性が声をかけてきて、「困っています。名刺を20枚集めないと、会社に帰れません。どうか助けてください」と懇願されます。名刺を交換すると、後日その女性から電話がかかってきて、「会おう」と誘われます。喜んで出かけていくと、待ち合わせ先にいるのは、女性と強面の男性上司。そしてそこから、マンションの営業が始まるわけです。
彼らの営業は、いわゆる「逆切れ商法」であり、高圧的に出て精神的に負荷をかけ、相手を追い詰めていって最後には謝罪させた上、契約書にサインさせるというやり方です。そのためのマニュアルが存在しています。
マニュアルによると、ターゲットは押しに弱い人や気の弱い人。また、興奮しやすい人も挑発して失言を引き出しやすいため、狙われます。その他に、業界内の統計学上、気が弱い人が多いという理由から、「しげる」という名の人と、変わった名前の人もターゲットとしています。これは冗談ではなく、彼らのなかでは「しげる見込み」などといわれています。