利益が出ていないときも「ご褒美」をあげよう
法則 一度始めたら、何があっても継続する
ご褒美の話になると、経営者はよく言います。
「御社は儲かっているからできるのだと」と。さらに「うちも利益が出れば同じように還元できるのだけれど…」と言葉を続ける方もいます。
経験上、そのように言っていた経営者は、実際に利益が出たとしても、同じように報奨を出さない人がほとんどです。それよりも自分の懐を増やすほうに熱心になる方が多いように感じます。
社員に報いたいと本心から思っている人は、たとえ経営が赤字になっていても実行できるものです。「うちも利益が出れば…」という言い訳は決して口には出しません。
もちろん業績が悪化すれば高額の報奨は難しくなりますが、その場合はタオル1本で十分です。特にトップと現場の距離が近い中小企業の場合、経営者が社員の努力に報いたいと切に願えば、その思いは報奨の金額や内容にかかわらず社員に伝わるものです。
「今期は赤字になってしまったのでこれで勘弁してほしい。来年は黒字に転換し、100万円でも多く利益を出してタオルを2本にしよう。そして再来年は業績を回復させてボーナスを今期の2倍にできるように頑張ろう」
そうやって経営者が奮起を促し、全社員が気持ちを高めてくれれば、目標はいずれ達成できるでしょう。1本のタオルの値段が500円とすれば、社員が100人いても5万円です。いくら赤字でも社長がちょっと倹約すれば5万円なら自腹で払える金額ですし、それで社員のモチベーションが高まるのなら安いものです。
「利益が出たから」と、ご褒美を出すのは簡単です。ですが社員一人ひとりのここ一番の力が必要となるのは、むしろ不況時や業績が悪化しているときではないでしょうか。その大変な時期にこそ、経営者は誠意を見せるべきなのです。
繰り返しになりますが、ご褒美経営を軌道に乗せるためには、やはり最終的には分配し続けることが最も大切です。決算で計画以上に利益が出たときだけ特別賞与を支給するとか、赤字になると還元しないとか、社長の気分で報奨を出す出さないを決めるとか、そんな一過性のご褒美になってしまうと社員の喜びは続かず、気持ちの好循環が生まれません。
たとえ利益が出なかったり、赤字に陥ったりしたときにでもご褒美を継続し、何より社員の幸せを願う経営者のメッセージを伝え続けてください。
そうすればタオル1本でも、もっと言えば石ころで作ったアクセサリーを渡すだけでも社員は経営者の思いを理解し、仕事に励んでくれるようになるでしょう。