※本連載では、株式会社吉寿屋相談役・神吉武司氏の著書、『社員の能力を劇的に伸ばす すごいご褒美 』(幻冬舎MC)から一部を抜粋し、社長が贈る「ご褒美」によって社員のやる気を引き出し、企業の生産性を高める具体的な方法をレクチャーしていきます。

社員に世界中の「好きな国」に旅行してもらおう!

 法則 「ご褒美」はみんなで楽しめるものとする

 

「ご褒美」のなかには、個人ではなくチームが対象のものもあります。例えば、各支店の社員同士で日帰り旅行を企画し、そのツアーの予算を会社が1人8000円分まで負担するといったものがありました。年1回、支店ごとに15~20名分の予算を設け、人数がオーバーすれば抽選会を行います。

 

この取り組みの目的は、もちろん社内コミュニケーションを円滑にすることです。仲の良いメンバーでも、プライベートで出かける機会はそうつくれるものでもありません。会社がご褒美という名目で予算をつけることで、社員同士の交流を深めるきっかけになるのです。

 

創業50周年記念事業では、50周年にちなみ、50名の社員に世界中の好きな国に旅行してもらおうと考えて企画しました。

 

金の延べ棒は全員にチャンスを与えましたが(関連記事『大アミダくじ大会を開き、金の延べ棒を「当たり」にした社長』参照)、この旅行企画については長年働いてくれた社員の年功に報いるために勤続年数順にしました。

 

具体的には勤務年数の長い順に毎年5名ずつ、旅したい国までの1人分の旅行費用を会社が負担します。勤続20年以上の社員には7日間、10年~20年までの社員には5日間の休暇をそれぞれ提供し、予算の範囲内であれば夫婦で出かけても良しとしました。年功者は何年後に自分の順番が回ってくるかの検討がつきますから、世界地図を眺めながら「どこを旅しようか」と楽しみに待ってくれていたようです。

 

ただし10年間で50名と決まっているため、350名の社員のなかで7名に1名しか対象になりません。そこでもう少し枠を広げるべく、勤続年数が51番から100番の50名には国内旅行をプレゼントすることにしました。北は北海道から南は沖縄まで、国内50カ所のうち好きな場所に旅行できる一泊二日のプランです。

 

上記の二つの企画で対象となるのは合計100名。これで全社員のおよそ3分の1です。そこで残りの250名の社員には、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンと大阪のホテルでの夕食会を楽しんでもらう計画を立てました。年功者を労いつつ、すべての社員にも喜んでもらうという、全体を考慮して考えた結果です。

 

ちなみに海外・国内旅行の対象者は金の延べ棒プレゼントと同様、正社員だけでなく準社員も含みます。準社員のパートさんは家庭の事情などで長く勤めるのが難しい場合もありますから、勤続年数を2年で1年とカウントし、正社員と合算して対象者を選んできました。

 

さらにお得意先や仕入先にもお世話になっていますから、同様に取引先の皆さん50名も海外旅行に招待しています。

 

50周年という節目を機にさまざまなご褒美を10年スパンで用意し、すべての社員にできる限り公平に、長く楽しんでもらえるよう工夫してきたのです。

 

そのほか、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンで遊んだり、各地のテーマパークに出かけたり、ハイキングを楽しんだりと、各支店のスタッフごとに思い思いのツアーを組んで楽しんでくれているようです。最近では年3回のユニクロお買い物ツアーを企画しています。1回につき30名まで、1人1万円の予算を会社が負担し、ユニクロで存分に買い物を楽しんでもらう取り組みです。

静岡の最高級マスクメロンを社内で食べる

【事例】 メロンの日

 

これは昼食後や午後の休憩時間などを利用して、静岡の最高級マスクメロンを一人につき半分ずつ食べてもらう企画です。社員にはスプーンを持参してもらい、必ず〝社内〟で食べてもらうのが決まりです。そうすることでメロンを囲んで社員同士のコミュニケーションが生まれるからです。社員の皆さんは次のような感想を寄せてくれました。

 

「先日はメロンをいただき、ありがとうございました。従業員みんなでおいしくいただき、同じ幸せを共有できてチームワークが円滑になった気がします」

 

「大きなメロンをありがとうございました。二つに割ったときに果汁が溢れ出てきてメロンの甘い香りで笑顔になりました。家でメロンを買うことがなく、ケーキについているメロンも子どもたちにあげるので、自分だけでそれも半分も食べていいなんて・・・どこまで食べていいのか分からなくてスタッフと笑いました」

 

社員の皆さんでワイワイと楽しみながら、メロンを味わってもらった様子が想像できて微笑ましい限りです。社員同士の会話のきっかけとなり、チームワークを育んでもらえるのであればメロンの値段なんて安いものです。

 

【事例】 マラソン倶楽部

 

マラソンが趣味の社員をサポートする取り組みです。年に3回、1回につき5万円までの補助を出しています。マラソン大会に出場すると参加費や交通費、食事代などのお金がかかるものです。その一部を補助することで、負担を少しでも減らしてもらえたらと思い始めました。

 

社員には健康でいてほしいと願っています。体を動かすことは大事ですから、走るのが好きな人には是非目標を持って取り組んでほしいと思っています。

 

マラソン大会に出場し、完走や自己記録の更新を目指すためには計画を立て、練習を積んでいかなくてはなりません。わずかでも会社から補助を出すことで計画づくりのきっかけとなり、走ることが好きな社員同士の交流と継続的な練習につなげてくれたらと願っています。

 

神吉武司

株式会社吉寿屋 相談役

社員の能力を劇的に伸ばす すごいご褒美

社員の能力を劇的に伸ばす すごいご褒美

神吉 武司

幻冬舎メディアコンサルティング

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