周りの人に配れるほどの「ご褒美」をあげよう
法則 社員だけでなく、家族や関係者にもご褒美を出す
ご褒美経営を50年以上継続してきて確信していることがあります。それは家族も喜ぶご褒美を提供すると、社員がより一層仕事に励んでくれるようになるということです。
例えば社員に賞与として10万円を渡すなら、5万円を社員に、残りの5万円を奥さんや旦那さんが喜ぶものにして渡す。あるいは子どもがいる場合は、子どもたちが喜ぶものも一緒に提供する。
すると社員は会社から成績を評価され、家族にも評価を喜んでもらえるのです。社員にとってこれほどの幸せはありません。
社員の家庭に果物や野菜を送る際、意識していることがあります。それは〝食べ切れないほどの量〟をあえて送ることです。そうすれば〝おすそ分け〟の気持ちが働いて、社員の家族や周りの人たちみんなに喜んでもらえます。
例えば4月に全員に送る「大玉すいか」は直径約30センチにもなるほどの巨大サイズです。そんな大きなすいかを売っているのは百貨店くらいで、地域のスーパーではまず見かけません。そればかりか、スーパーでは丸々1個ではなく、半分や4分の1に切り分けて販売されていることが多いですから、まずは「こんな大きなすいかを初めて見た!」とびっくりし、喜ばれます。
さらにその巨大サイズのすいかを二つも送るので、届いた家族は大変です。子ども2人がいる4人家族だとしても、1日、2日で食べ切れる量ではありませんから、両親やご近所にも配ることになるでしょう。ある社員は家族や友だちとすいか割りを楽しみ、そのあとみんなで存分に味わったそうです。きっと良い思い出になったことでしょう。
お菓子でいえば、朝のじゃんけん大会の賞品として毎回、キャンディー袋が10袋詰まっているケースを10箱出しています。するとあるとき、勝ち抜いた独身の社員が「こんなにもらっても食べ切れないので1箱だけで結構です」と9箱を返そうとしてきました。
ですから私は「そうじゃないよ」と説明しました。
「君には親兄弟やご近所さんがいるだろう。持って帰っておすそ分けをすれば喜ばれるし、ちょっとした会話が始まるかもしれない。そのためにあえて10箱も渡しているのだから、是非持って帰ってほしい」
すると、その社員は「分かりました」と納得して持って帰ってくれました。
キャンディーを周りの人たちに配ると、「こんなにたくさんどうしたの?」と聞かれるはずです。「会社のじゃんけん大会でもらった」と説明すれば、「吉寿屋ってどんな会社なんだろう」と関心を抱いてくれるでしょう。そして、恐らく悪い印象を持つ人はいないはずです。
そんな評判が積もり積もって、やがてその社員の関係者や周りの人たちが吉寿屋のお店でお菓子を買ってくれたり、働きに来てくれたりするかもしれません。
何よりキャンディーが家族やご近所とのつながりを持つきっかけになってくれれば、それだけで私としては本望です。だからこそ本人だけでは食べ切れない量を送るのが大事なのです。