低い税率で、ロシア資本の「欧州への窓」だったキプロス――EUの制裁下でも残る金融・投資の接点

低い税率で、ロシア資本の「欧州への窓」だったキプロス――EUの制裁下でも残る金融・投資の接点
(※写真はイメージです/PIXTA)

ロシアから欧州へ、そして欧州からロシアへ――。かつてキプロスは、ロシア企業や富裕層にとって、資金や投資を海外へ動かすための「窓」のような役割を果たしていました。低い法人税率や国際金融センターとしての機能を背景に、ロシア資本の重要な金融・投資拠点となっていたのです。しかし、2022年のウクライナ侵攻を境に、その関係は大きく変わりました。EU加盟国であるキプロスは、EUの対ロシア制裁を実施する側に立っています。それでも、過去に形成されたロシアとの金融・投資上の結び付きは、簡単には消えません。かつて「ロシアと欧州をつないだ窓」キプロスは、現在どのような役割を担っているのでしょうか。

 ゴールドオンライン新書最新刊、Amazonにて好評発売中! 

父が溶かした退職金【上巻】・【下巻】
小林篤典(著)+ゴールドオンライン(編集)

シリーズ既刊本も好評発売中 → 紹介ページはコチラ!

「法人税12.5%」でロシア資本を呼び込んだキプロス

キプロス共和国は、地中海の東部に位置する島国です。1974年以降、島は南部を実効支配するキプロス共和国と、北部の北キプロス・トルコ共和国に分断されています。国際的に承認されているのはキプロス共和国で、2004年にはEUに加盟しました。

 

現在のキプロスはEU加盟国として、EUの対ロシア制裁を実施しています。

 

ところが、ソ連崩壊後のキプロスは、ロシアとの経済的な結び付きが強い国でした。

 

その背景の一つが、国際金融センターとして発展してきたキプロスの税制です。

 

キプロスの標準的な法人税率は、2025年末まで12.5%でしたが、2026年1月1日から15%に引き上げられました。それでも欧州の主要国と比較すると、現在も比較的低い法人税率です。

 

また、キプロスには、外国にある恒久的施設(PE)から生じる所得について一定の要件の下で法人税を免除する制度や、外国からの配当、キャピタルゲインについて一定の免税措置があります。

 

そのため、「国外所得には課税されない」という単純な制度ではありませんが、国際的な投資活動を行う企業にとって利用しやすい税制が整備されてきました。

 

こうした税制と金融インフラを背景に、キプロスはロシア企業や富裕層にとって、資金管理や海外投資の拠点となりました。

 

ロシア企業がキプロスに法人を設立し、その法人を通じて海外への投資や企業買収を行うケースも増えました。このため、キプロスはロシアから見て、欧州をはじめとする海外市場へアクセスするための「窓」のような役割を果たしてきたのです。

 

次ページ2013年の金融危機で注目されたロシア資金

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧