国が分割すると「税金」はどうなる? ユーゴスラビア、ソ連、チェコスロバキア…国家分裂で生じる国際課税【国際税務の専門家が解説】

国が分割すると「税金」はどうなる? ユーゴスラビア、ソ連、チェコスロバキア…国家分裂で生じる国際課税【国際税務の専門家が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

国家が分離・独立すると、政治や民族だけでなく、税金をめぐっても複雑な問題が生じます。個人であれば居住地を基準に整理できる場合がありますが、法人の場合は、どの国に納税義務があるのか、資産や契約をどう承継するのかなど、簡単には判断できません。バングラデシュ、旧ユーゴスラビア、ソ連、チェコスロバキアの分離・解体を例に、国家分割と税金の関係を考えます。

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宗教や民族対立を背景に誕生したバングラデシュ

国が分割され、新たな国家が誕生することがあります。1971年には、バングラデシュがパキスタンから分離独立しました。

 

パキスタンは、インドから独立する際、宗教的な対立を背景に、イスラム教徒を中心とする国家として成立しました。一方、バングラデシュの独立には、ベンガル人としての民族的・言語的なアイデンティティーなど、複数の要因が関係しています。

 

このように、国家の分離には宗教、民族、言語、政治など、さまざまな要因が関係します。そして国家の枠組みが変われば、当然ながら、その国で適用される税制も変わることになります。

ユーゴスラビア解体で7つの国・地域に分離

国の分離という点では、旧ユーゴスラビアもその一例です。民族間の対立などを背景に紛争が続き、国家の枠組みも大きく変化しました。

 

ユーゴスラビアは、1963年に「ユーゴスラビア社会主義連邦共和国」となり、1992年には「ユーゴスラビア連邦共和国」となりました。その後、2003年2月5日に「セルビア・モンテネグロ」に改称され、ユーゴスラビアという国名は消滅しました。

 

旧ユーゴスラビアから分離・独立した国々は、次のとおりです。

 

 ①スロベニア共和国(1991年6月に独立を宣言)

 ②クロアチア共和国(1991年6月に独立を宣言)

 ③北マケドニア共和国(1991年に独立。2019年に「北マケドニア共和国」に改称)

 ④ボスニア・ヘルツェゴビナ共和国(1992年3月に独立を宣言。その後、内戦に突入し、1995年12月に和平協定が成立)

 ⑤セルビア共和国(2003年に「セルビア・モンテネグロ」となり、2006年のモンテネグロ独立に伴って現在のセルビア共和国となりました)

 ⑥コソボ共和国(2008年2月17日に独立を宣言)

 ⑦モンテネグロ共和国(2003年に「セルビア・モンテネグロ」となり、2006年に分離独立)

 

この地域の国々は、欧州の主要国と比較すると法人税率が低い国も多く、法人税率は、スロベニアが19%、クロアチアが18%、北マケドニアが10%、ボスニア・ヘルツェゴビナが10%、セルビアが15%、コソボが10%、モンテネグロが9%となっています。

 

同じ地域にありながら、法人税率には違いがあります。国家が分離して新しい国が誕生すれば、それぞれの国が独自の税制を整備することになるためです。

 

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