低い税率で、ロシア資本の「欧州への窓」だったキプロス――EUの制裁下でも残る金融・投資の接点

低い税率で、ロシア資本の「欧州への窓」だったキプロス――EUの制裁下でも残る金融・投資の接点
(※写真はイメージです/PIXTA)

ロシアから欧州へ、そして欧州からロシアへ――。かつてキプロスは、ロシア企業や富裕層にとって、資金や投資を海外へ動かすための「窓」のような役割を果たしていました。低い法人税率や国際金融センターとしての機能を背景に、ロシア資本の重要な金融・投資拠点となっていたのです。しかし、2022年のウクライナ侵攻を境に、その関係は大きく変わりました。EU加盟国であるキプロスは、EUの対ロシア制裁を実施する側に立っています。それでも、過去に形成されたロシアとの金融・投資上の結び付きは、簡単には消えません。かつて「ロシアと欧州をつないだ窓」キプロスは、現在どのような役割を担っているのでしょうか。

ロシア経済を見るもう一つの視点

ロシアはウクライナ侵攻と西側諸国による制裁によって、欧米との経済関係を大きく制限されています。

 

一方で、ロシアは依然として世界有数の経済規模を持つ国であり、エネルギーや資源の供給国として国際経済に影響を与えています。

 

IMFの2026年1月時点の見通しでは、ロシアの実質GDP成長率は2026年に0.8%、2027年に1.0%と予測されています。

 

戦争と制裁によってロシアと欧州の経済関係は大きく変わりました。それでも、国際金融の世界では、一度形成された企業、資金、投資のネットワークが簡単に消えるわけではありません。

 

だからこそ、ロシア経済を見るときには、ロシア国内だけを見るのではなく、ロシア資本がどこを経由して世界とつながってきたのかを見ることも重要です。

 

その象徴の一つが「キプロスの窓」です。かつてロシアと欧州をつないだこの「窓」は、現在は閉じられています。

 

しかし、国際情勢が変化すれば、再び開かれる可能性もあります。そのときキプロスがどのような役割を果たすのか――。ロシア経済の行方を考えるうえで、キプロスの動向にも注目する必要がありそうです。

 

 

矢内 一好

国際課税研究所

首席研究員

 

 

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