低い税率で、ロシア資本の「欧州への窓」だったキプロス――EUの制裁下でも残る金融・投資の接点

低い税率で、ロシア資本の「欧州への窓」だったキプロス――EUの制裁下でも残る金融・投資の接点
(※写真はイメージです/PIXTA)

ロシアから欧州へ、そして欧州からロシアへ――。かつてキプロスは、ロシア企業や富裕層にとって、資金や投資を海外へ動かすための「窓」のような役割を果たしていました。低い法人税率や国際金融センターとしての機能を背景に、ロシア資本の重要な金融・投資拠点となっていたのです。しかし、2022年のウクライナ侵攻を境に、その関係は大きく変わりました。EU加盟国であるキプロスは、EUの対ロシア制裁を実施する側に立っています。それでも、過去に形成されたロシアとの金融・投資上の結び付きは、簡単には消えません。かつて「ロシアと欧州をつないだ窓」キプロスは、現在どのような役割を担っているのでしょうか。

キプロスに残るロシア関連資産

では、現在のキプロスからロシアとの経済的なつながりが完全になくなったのでしょうか。

 

そうとはいえません。EU域内では、ロシアの中央銀行資産や、制裁対象となった個人・企業に関連する資産などが凍結されています。キプロスでも、2022年以降、ロシア関連の預金や資産が凍結されています。

 

ただし、「EU域内で凍結されたロシア資産の多くがキプロスにある」と一括りにするのは適切ではありません。

 

特にロシア中央銀行の資産については、EU域内の中央証券保管機関(CSD)などに保管されている資産が中心であり、キプロスに集中しているわけではありません。

 

一方で、ロシア企業や富裕層とキプロスとの間には、過去に形成された金融・企業ネットワークがあります。今後ロシアをめぐる国際情勢が大きく変化した場合、キプロスが再び注目される可能性はあります。

もし「窓」が再び開くとしたら

現在、ロシアによるウクライナ侵攻がいつ終結するのか、またEUが対ロシア制裁をいつ、どの程度緩和するのかは分かりません。

 

仮に将来、停戦や和平合意などによってロシアと欧州の関係が改善し、金融・投資に対する規制が緩和される局面が訪れれば、過去に形成された資金や企業のネットワークが再び動き出す可能性があります。

 

そのとき注目される国の一つがキプロスです。低い法人税率を背景に国際金融センターとして発展してきた歴史、ロシア企業との長年の取引関係、そして欧州の金融市場へのアクセスという立地上のメリット。これらを考えると、キプロスは単なる小さな島国ではありません。

 

ロシア資本と欧州経済の間に存在する、歴史的な「窓」なのです。

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