「多数回該当」は引き続き利用できる
高額療養費制度には、以前から「多数回該当」という仕組みが設けられている。
これは、直近12カ月の間に高額療養費制度の対象となる月が3回以上あった場合、4回目以降は自己負担限度額がさらに引き下げられる制度だ。例えば、人工透析や継続的ながん治療などで毎月制度を利用する人は、この多数回該当によって負担が軽減されている。
今回の制度改正後も、多数回該当の仕組み自体は維持される。その一方で、新設された年間上限とは役割が異なる。
多数回該当は「毎月の自己負担」を軽減する制度であるのに対し、年間上限は「1年間を通じた総負担」を抑える制度だ。両者が組み合わさることで、長期間にわたって高額な治療を受ける患者の負担を、これまで以上にきめ細かく軽減することが期待されている。
家計への影響は――現役世代は特に確認を
今回の制度改正で影響を受けやすいのは、比較的所得の高い現役世代である。例えば、会社員や自営業者が病気やけがで長期入院した場合、所得区分によっては、これまでより自己負担額が増える可能性がある。
一方、住民税非課税世帯など低所得者については、必要な医療へのアクセスを確保する観点から、負担増ができるだけ抑えられるよう配慮されている。
また、高額療養費制度があるからといって、「医療費の心配は不要」というわけではない。制度の対象となるのは保険診療による医療費のみであり、差額ベッド代や入院時の食事代、先進医療の技術料、日用品代、通院交通費などは対象外となる。
さらに、治療のために仕事を休めば収入が減少する可能性もある。特に自営業やフリーランスでは、会社員のような傷病手当金制度が利用できないケースもあり、治療期間中の生活費まで含めると家計への影響は決して小さくない。
