(※写真はイメージです/PIXTA)

子どもが離婚や転職などをきっかけに実家へ戻り、親子三世代で暮らし始めることがあります。一時的な同居のつもりでも、生活が長引けば家事や生活費、孫の世話など、当初は想定していなかった負担が生じることもあります。「いつまで一緒に暮らすのか」は、同居を始める前に確認しておきたい重要な条件の一つです。

「半年くらいなら」娘と孫を迎えた70歳夫婦

「孫と暮らせるなら幸せだと思ったんです。半年くらいなら、にぎやかでいいなって」

 

恵子さん(仮名・70歳)は、夫の和夫さん(仮名・71歳)と4LDKの戸建てで暮らしています。住宅ローンは完済済み。夫婦の年金は合わせて月約24万円です。

 

半年前、43歳の一人娘・美香さん(仮名)が離婚しました。

 

美香さんには小学6年生の息子がいます。正社員として働いていましたが、離婚後に一人で家賃や生活費、教育費を負担することに不安がありました。

 

そこで恵子さんから提案しました。

 

「生活が落ち着くまで、こっちに来たら? 部屋も余っているんだから」

 

美香さんも「半年くらい実家にいさせてもらって、その間にお金を貯めようかな」と答えました。

 

孫の中学進学も控えています。半年程度生活費を抑えれば、新居の初期費用も準備できるだろう。夫婦はそう考えていました。

 

美香さんからは食費や光熱費として月5万円を受け取ることにしました。

 

同居が始まると、恵子さんの生活は大きく変わりました。

 

平日は4人分の夕食を作ります。帰宅が遅い美香さんに代わって、孫の洗濯物を取り込んだり、学校から帰ってくるのを待ったりすることもありました。

 

負担がないわけではありません。それでも、

 

「今日のご飯なに?」

 

と孫が台所をのぞくのが、恵子さんは嬉しかったといいます。

 

「半年だけだと思っていたから、今しかできないことだと思っていました」

 

同居から3ヵ月ほどたったころ、宅配便が頻繁に届くようになりました。

 

大きな段ボールの中に入っていたのは、美香さんの衣類でした。

 

「ずいぶんたくさん買ったのね」

 

「買ったんじゃないよ。前の部屋に置いてあったやつ」

 

その後も段ボールは届きました。

 

食器、冬物の衣類、アルバム、孫の本や学用品。さらに小型の家具や季節家電まで運び込まれます。

 

「こんなに持ってきて、次に引っ越すとき大変じゃない?」

 

恵子さんが尋ねると、美香さんは「まあ、そのとき考えるよ」と答えました。

 

夫婦は深く考えませんでした。

 

厚生労働省『2024(令和6)年国民生活基礎調査』によると、65歳以上の人がいる世帯のうち、「三世代世帯」は6.3%です。1986年には44.8%を占めていましたが、その割合は長期的に低下しています。

 

恵子さん夫婦も、子どもが独立してから長く夫婦2人で生活してきました。半年という期限があったからこそ、その生活を一時的に変えることにも抵抗がありませんでした。

 

ところが、同居から半年を迎えるころ、夫婦が想像していなかった事実を知ることになります。

次ページ「もう部屋は解約したよ」増え続ける段ボールで知った娘の決断

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