(※写真はイメージです/PIXTA)

高齢の親の年金だけでは生活費が足りず、子どもが毎月仕送りをしている家庭もあります。しかし、50歳前後は自分の住宅ローンや子どもの教育費などが重なりやすい時期でもあります。一度始めた親への援助を、いつまで、どの程度続けるのか。家族の中でも答えを出しにくい問題です。

「今月も5万円、お願いできる?」6年間続いた母への仕送り

「今月も5万円、お願いできる?」

 

母の文子さん(仮名・78歳)からそう言われ、健一さん(仮名・49歳)はしばらく返事ができませんでした。

 

健一さんは会社員で、年収は約780万円。妻と大学1年生の長女、高校1年生の長男との4人暮らしです。

 

文子さんは6年前に夫を亡くし、一人暮らしになりました。受け取っている年金は月約10万円。家賃6万5,000円ほどの民間賃貸住宅に住んでいます。

 

夫が亡くなった直後、健一さんは母から生活費について相談されました。

 

「年金だけだと、家賃を払ったらあまり残らないの」

 

そこで健一さんから「しばらく5万円くらいなら出すよ」と提案。毎月、母の口座へ振り込むようになりました。

 

当初は1年ほどのつもりだったといいます。しかし、1年が過ぎても状況は変わりませんでした。

 

母から「今月もお願い」と言われれば振り込む。それを繰り返すうちに、月5万円の仕送りは家族の中で当たり前になっていきました。

 

年間では60万円。6年間なら単純計算で360万円です。それでも健一さんは、母に「もう払えない」とは言い出せませんでした。

 

「自分の年収だけを見れば、5万円くらい出せるだろうと思っていました。母も一人ですし、長男の自分が何とかしないと、という気持ちもありました」

 

ところが、この春、長女が大学へ進学。

 

入学金や授業料に加え、自宅から大学までの交通費などもかかります。3歳下の長男も高校へ進学し、その先には大学受験が控えています。住宅ローンもまだ残っていました。

 

ある晩、妻から言われます。

 

「お義母さんにお金を送るのが嫌なんじゃないよ。でも、うちもこれから一番お金がかかる時期だよね」

 

健一さん自身も分かっていました。健一さんは、次に母から頼まれたら話をしようと決めました。

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