築40年の木造アパートを売却したら、突然「税務署」から“お尋ね”が届いたワケ【税理士が解説】
家族が困らないために…相続後に「管理の手間」をかけず収益を受け取れる仕組み作り
団信を利用した不動産投資は、相続後に家族の選択肢を増やすことが可能です。相続後に家族が「月々の生活費」を受け取り続けるか、あるいは「物件を売却してまとまった現金」にするか、状況に応じて選ぶことができます。
たとえば、不動産の家賃収入50万円、ローン返済月額35万円である場合で考えていきましょう。ローンの借入人が逝去した場合には、家族は当該不動産を相続することで月額50万円のキャッシュフローを得ることができます(相続税は考慮外とします)。借金がゼロになった不動産は、そのまま家族の「私的年金」となります。
仮に、当該不動産の市場価値が1億円であった場合、相続した家族は不動産を売却することで、まとまったお金を得ることもできるのです。
所有し続けていく場合においては、相続人が不動産経営に不慣れなことも考えられます。その場合は、サブリース契約を行い、賃料の平準化をさせることも検討の一つですが、賃料が上昇している局面においては、当該上昇分がサブリース会社の収入になる契約が一般的です。賃料上昇分のメリットを享受するためには、一般管理でも不動産経営が継続できるよう家族に対して常に情報を共有したり、交渉の席に同席させたりすることも大切です。
「保険としての不動産」の限界…インフレ下で見直すべき、保障額と物件価値のバランス
コロナ禍以降はインフレが顕著に進んでいます。金利や不動産価格の上昇により、コロナ禍以前に比べて資金調達が困難になってきました。また、既存の不動産投資家であっても、金利上昇の影響を受け、キャッシュフローが悪化しているケースを耳にします。
不動産経営を円滑に進めるためには賃料の上昇が不可欠です。しかし、不動産の賃料はインフレの速度に対して遅効的な性質を持っており、実際には柔軟に上昇させることは困難です。その大きな理由は、借地借家法では借家人の居住権を保護していることにあります。契約内容にもよりますが、法的な背景を考えると、賃料の大幅な引き上げは実質的に困難であるといわざるを得ません。
一方で、金利の上昇によって保険の商品性はよくなっています。少額の積立額で大きな保障を得られる商品や、運用利回りの上昇が反映されて解約返戻率が高まった商品など、活用の選択肢は広がっています。また、生命保険は相続時に「相続人の人数×500万円」の非課税枠もあり、税務上の魅力も依然として強力です。
不動産は優れたリスクヘッジの手段ですが、それ一点に依存するのは危険です。将来の資産形成やリスクヘッジにおいては、投資するアセットの割合やその将来性などポートフォリオを常に見直ししてく姿勢こそが大切なのです。
小俣 年穂
ティー・コンサル株式会社 代表取締役
不動産鑑定士
ファイナンシャル・プランニング技能士 1級
宅地建物取引士

