「新居を買おうと思っている」息子の結婚報告で持ち上がった話
69歳の信夫さん(仮名)は、67歳の妻・千佳子さん(仮名)と2人暮らし。長年会社員として働き、現在は夫婦合わせて月約22万円の年金で生活しています。
住宅ローンを完済した一戸建てに住み、預貯金と投資信託を合わせた金融資産は約3,000万円。毎月の生活費は約25万円で、不足する分は貯蓄から補っています。
夫婦には37歳のひとり息子・亮介さん(仮名)がいます。
亮介さんは大学卒業後、実家を離れて就職。現在は会社員として働き、年に数回ほど帰省していました。
ある日、その亮介さんから電話がかかってきます。
「結婚を考えている人がいるんだ。今度、一緒に帰ってもいい?」
千佳子さんは喜び、約束の日にはいつもより少し豪華な昼食を用意しました。
亮介さんが連れてきたのは、35歳の会社員・真帆さん(仮名)。落ち着いた雰囲気で、仕事や趣味の話にも自然に応じる女性でした。
食事が進み、結婚式の予定などを尋ねていると、亮介さんが新居について話し始めます。
「実は、結婚を機にマンションを買おうと思っているんだ」
2人は現在、それぞれ賃貸住宅で暮らしており、結婚後は職場に通いやすい場所で一緒に暮らす予定だといいます。候補にしているのは、価格約5,500万円の中古マンションでした。
「頭金を少し多めに入れたいんだけど、今の貯金だけだと余裕がなくて」
そう話したあと、亮介さんは父親に尋ねました。
「前に、結婚するときは援助するって言ってくれたよね。いくらくらい考えてくれてる?」
信夫さんは、一瞬返事に詰まりました。確かに、息子が20代の頃、「結婚するときには少しくらい出してやる」と話したことがあります。しかし、具体的な金額を約束した覚えはありません。
「まあ、できる範囲では考えているけどな」
そう答えると、亮介さんは「ありがとう。助かるよ」と笑顔を見せました。
真帆さんは「私たちも無理のない予算にしようと話しているんです」と付け加えましたが、信夫さんはその後も、息子の言葉が気になっていました。
2人が帰ったあと、千佳子さんが口を開きます。
「ねえ、亮介は私たちがいくら出すと思っているのかしら」
