「修理するところばかり増えて…」築35年の家、夫婦の悩み
「もう、この家を維持できません。思い切って手放すことにしたんです」
そう話すのは、68歳の美代子さん(仮名)です。
美代子さんは同い年の夫・隆夫さん(仮名)と2人暮らし。夫婦の年金収入は合わせて月約20万円で、貯蓄は約1,200万円あります。
2人が暮らしていたのは、35年前に購入した4LDKの一戸建てです。子ども2人を育てた思い出の詰まった家で、住宅ローンもすでに完済していました。
「子どもたちが小さい頃は、広い家が必要だったんです。でも、今は使っていない部屋が2つもあります」
子どもたちはそれぞれ独立し、現在は夫婦だけの生活。2階の子ども部屋には古い家具や荷物が残り、ほとんど物置になっていました。
美代子さんが負担に感じ始めたのは、家の掃除や庭の手入れです。
「昔は何ともなかった階段の上り下りも、最近は疲れるようになって。庭の草取りも、夏場は大変なんです」
さらに、築35年の住宅では修繕費もかさむようになりました。
3年前には給湯器の交換に約25万円、昨年は雨どいの補修に約18万円を支払っています。そして今年、屋根と外壁の修繕について業者に相談したところ、約230万円の見積もりが出ました。
「見積書を見て、夫と顔を見合わせました。これからも修理が続くと思うと、気が重くなったんです」
夫婦は年金月20万円を中心に生活しており、日常の支出を大きく切り詰めているわけではありません。
ただ、固定資産税や住宅の維持費、車の買い替えなど、まとまった出費には貯蓄を充てていました。
「1,200万円あっても、何度も数百万円を使えば減ってしまいます。これから介護が必要になるかもしれないと思うと、不安でした」
隆夫さんは当初、「せっかくローンを払い終えたのに、今さら家賃を払うのか」と住み替えに消極的でした。
しかし、2階の部屋をほとんど使っていないことや、今後も修繕が必要になることを考え、夫婦で住まいを見直すことにしました。
「この家に住み続けるために、どこまでお金と体力を使えるのか。そこを考えたんです」
