エジプトのカイロ郊外、ニューキャピタル入り口の巨大な門/PIXTA

ドバイなど知名度の高い市場だけでなく、ジョージア、エジプト、ナイジェリアといった、日本ではまだ馴染みの薄い国々への投資をサポートするMeti Lux Partners(メティラックスパートナーズ/旧Beograd Consulting Group)。同社は、なぜこうした市場に注目しているのでしょうか。背景にあるのは、日本の高度経済成長期に見られた経済・社会の変化を、新興国市場を考える際の参考にするという考え方です。資産管理などをサポートする同社CEOの埜嵜雅治氏に、フロンティア市場の選び方や、海外資産を分散して保有する際の考え方を聞きました。前編では、新興国市場の見方と、日本の経済成長の歴史から得られる投資の視点を紹介します。

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日本の高度経済成長史から読み解く「新興国投資」の目利き術
フロンティア市場(ジョージア・エジプト・ナイジェリア・ドバイ)での

資産分散とリスク管理の進め方

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新興4ヵ国の市場特性と「守り・攻め」のポートフォリオ戦略

――ドバイやエジプト、ジョージア、ナイジェリアは、日本人投資家にとって馴染みの深さが異なります。貴社がこれらの市場に注目する理由を教えてください。

 

海外投資や企業経営を考える際、私たちは「守り」と「攻め」を分けて考えています。「守り」は税制や資産保全の仕組みを活用すること、「攻め」は成長の可能性がある市場で資産の拡大を目指すことです。

 

GoogleやAmazon、日本のソフトバンクやソニーといった企業も、売上を伸ばす取り組みと、法令に沿って税負担を管理する取り組みの両方を行っています。資産運用でも、資産を増やすことだけでなく、保全や税務面を含めて考えることが大切です。

 

この考え方に基づくと、ドバイやジョージアは、税制や資産管理の面で検討対象となる市場です。ジョージアには、一定の条件のもとで利益を再投資する企業への課税を繰り延べる制度があり、銀行預金についても比較的高い金利が提示される場合があります。ドバイにも、個人所得税や法人税などに関して、日本とは異なる税制があります。

 

一方、エジプトやナイジェリアについては、人口の増加や国内市場の拡大を背景に、経済成長の機会が生まれる可能性に注目しています。ただし、経済が成長しても、それが投資先の価格上昇や収益につながるとは限りません。国ごとの制度や市場環境を確認する必要があります。

 

――ドバイやジョージアでは、資産を大きく増やすことは難しいのでしょうか。

 

両国にも投資機会はあります。ただ、人口規模や国内市場の大きさは、エジプトやナイジェリアとは異なります。

 

ジョージアの人口は約400万人です。ドバイは都市であり、アラブ首長国連邦(UAE)全体とは人口や経済規模の捉え方が異なりますが、国内市場の規模という点では、人口の多い国々と同じ条件ではありません。

 

対照的に、エジプトとナイジェリアは人口の多い国です。国連の人口推計では、両国とも2050年に向けて人口が増えると予測されています。人口の増加は、住宅や交通、医療、教育、消費などの需要を押し上げる要因になり得ます。

 

私たちは、北アフリカの主要国であるエジプトと、西アフリカの主要国であるナイジェリアについて、こうした需要の拡大に注目しています。ただし、人口が増えるだけで投資が成功するわけではありません。所得水準や雇用、インフラ整備、政治・経済の安定性なども確認する必要があります。

 

Meti Lux Partnersが注目する4ヵ国の投資環境

■ ドバイ(UAE)

個人所得税が課されないなどの税制上の特徴と、高度なインフラを備えたドバイは、国際的な資産運用や事業の拠点として注目されています。世界各国からの富裕層の流入を背景に、不動産投資では沿岸部など立地の希少性にも関心が集まっています。

※UAEでは法人税が導入されており、適用条件によって税負担が異なります。また、日本の税務上の居住者は海外所得も日本で課税される場合があるため、税制上のメリットは個別の状況に応じた確認が必要です。

 

■ エジプト

1億1,000万人を超える圧倒的な人口増と内需拡大を背景とした「攻め(資産拡大)」の成長市場です。カイロ混雑解消に向けた「新首都移転プロジェクト」による実需ベースの不動産需要に加え、足元では高利回りの短期国債と不動産の分割支払いを組み合わせた手元資金温存型の運用スキームも魅力です。

 

■ ジョージア

年利約10%の銀行定期預金や、事業利益の再投資に関する税制上の特徴などが注目される市場です。不動産投資も選択肢の一つで、預金金利や賃料収入を通じたキャッシュフローを重視する投資家から関心を集めています。

※預金金利はラリ建て・預入期間などの条件によって異なり、為替変動により円換算で元本割れする可能性があります。税制の適用条件や不動産の収益性も個別に確認が必要です。

 

■ ナイジェリア

約2.4億人の人口を抱えるアフリカ有数の経済規模を持つ「攻め」の成長市場です。英語が公用語の一つであることや、年15%を超える利回りが確認された国債、株式市場の成長余地が注目されています。

※国債の利回りは銘柄や時点によって異なります。ナイラ建て資産は通貨高による為替差益が期待できる一方、通貨安によって円換算で損失が生じる可能性があります。また、現地市場の取引状況や外貨交換・送金の条件によって、売却や資金回収に時間を要する場合があります。

日本の経済成長の軌跡から考える、新興国市場の見方

――日本の高度経済成長史を手がかりに新興国を見るという考え方について、具体的な着眼点を教えてください。

 

私たちがYouTubeやセミナーなどでお伝えしているのは、過去の日本のように、経済や産業が発展していく段階にある国を探すという考え方です。

 

日本では高度経済成長期に、製造業の発展や輸出の拡大に伴い、道路や住宅などのインフラ整備が進みました。一方、当時は公害などの社会問題もありました。経済が成長する過程では、所得や消費が増えるだけでなく、都市環境や制度の整備も課題になります。

 

こうした変化を考える際、人口構成や国内市場の規模は重要な要素です。例えば、人口の少ない地域と人口1億人を超える国では、商品やサービスを提供できる市場の大きさが異なります。ただし、人口が多いことが、そのまま企業の収益や投資成果につながるわけではありません。

 

もう一つ、私たちが注目しているのが、通貨価値の変化です。戦争や経済危機などを経験した国では、通貨が大きく下落することがあります。通貨安によって現地の資産が外貨ベースで割安に見える場合もありますが、通貨安には経済や財政への不安が反映されている可能性もあります。

 

日本では、1949年に1ドル=360円の固定相場が設定されました。その後、経済成長や輸出の拡大などを経て、1970年代には為替制度が変わり、円高が進みました。ただし、これは当時の国際通貨制度や日本の経済状況など、複数の要因が重なった結果です。通貨が下落した国が、必ず同じ道をたどるわけではありません。

 

私たちは、通貨安という一つの要素だけで判断するのではなく、産業の成長や企業の競争力、制度の変化などを併せて見ています。現地の資産価格が割安に見えても、その後に価格や通貨価値が上昇するとは限らないためです。

 

――購入した通貨や資産の価値が、その後上がっていくためには、どのような条件が必要でしょうか。

 

私たちは、主に三つの点を確認しています。第一に、経済が成長していること。第二に、外貨準備高の推移。第三に、貿易収支が改善していることです。

 

たとえば、輸出が増え、海外から外貨を獲得できるようになれば、国際収支や通貨の需給に影響することがあります。日本でも、戦後の製造業の発展や輸出の拡大が経済成長を支えました。タイや中国なども、それぞれ異なる経緯をたどりながら、輸出産業の発展を経験しています。

 

ただし、貿易黒字や外貨準備高の増加だけで通貨高が決まるわけではありません。資本の流出入、金融政策、物価上昇率、対外債務なども為替に影響します。

 

ナイジェリアについては、貿易収支や外貨準備高の動向を注視しています。エジプトについても、貿易収支や外貨の調達状況などが重要な確認項目です。こうした経済指標を継続的に確認し、投資先の状況を判断することが大切だと考えています。

円安とインフレをどう考える? 通貨分散とカントリーリスクの捉え方

――新興国投資では、カントリーリスクや政治・経済の不透明さを懸念する声もあります。どのように考えていますか。

 

将来を完全に予測することはできません。国際情勢が変化すれば、それまで安定していた市場でも状況が変わる可能性があります。日本も例外ではなく、円相場の変動や周辺地域の安全保障環境など、さまざまなリスクに直面しています。

 

だからこそ、資産を特定の国や通貨だけに集中させないという考え方が重要になります。ただし、海外に資産を移せばリスクがなくなるわけではありません。投資先の通貨が下落したり、政治や制度の変更によって資産の換金や送金が難しくなったりする可能性もあります。

 

海外資産を保有する際には、投資対象の国や通貨だけでなく、金融機関の信用力、預金保護制度、送金の条件、税務上の取り扱いなども確認する必要があります。

 

私たちは、日本の高度経済成長期の経験を参考にしながら、成長の可能性がある市場を探しています。そのうえで、各国の経済状況や制度、リスクを確認し、資産全体のなかでどのような役割を持たせるかを考えることが大切だと考えています。

 

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資産分散とリスク管理の進め方

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※本記事は、海外投資に関する情報を紹介するものであり、特定の金融商品・投資商品の購入を推奨するものではありません。海外投資には、為替変動や投資先の信用状況、現地の法制度・政治・経済情勢などにより、損失が生じるリスクがあります。投資を検討する際は、商品内容や契約条件、手数料、リスクなどを十分に確認し、ご自身の判断と責任で行ってください。