築40年の木造アパートを売却したら、突然「税務署」から“お尋ね”が届いたワケ【税理士が解説】
最大75万円への控除拡充…電子帳簿保存が「高額控除」の絶対条件に
今年も確定申告の時期になりました。不動産オーナーにとって最も身近な節税でもある「青色申告特別控除」。2026年度税制改正において、さらなるデジタル対応を求める動きがあるのをご存じでしょうか。DXに対応できるか否かで、受けられるメリットに大きな差がつきます。
まずは現行制度と、改正後の変更点を比較してみましょう。
【現行制度】
控除額
65万円 複式簿記 + e-Tax申告または優良電子帳簿保存
55万円 複式簿記 + 書面申告
10万円 簡易的な記帳
【新制度(予定)】
控除額
75万円 複式簿記 + 優良電子帳簿の保存等
65万円 複式簿記 + e-Tax申告
10万円 簡易的な記帳(前々年の収入金額1,000万円以下の場合)
0円 簡易的な記帳(前々年の収入金額1,000万円超)
このように控除額が4段階にわかれます。本改正は2027年分の確定申告から適用されることになりますが、会計システムの移行や記帳方法の変更を考えると、今年中にしっかり準備をしておいたほうが賢明です。
「優良電子帳簿」とは?
今回の目玉は、最高額が75万円に引き上げられる点です。その要件となる「優良電子帳簿」とは、訂正や削除の履歴が残るなど、一定の要件を満たした会計ソフトで作成された帳簿を指します。
「普通の電子帳簿」との違いは以下のとおりです。
普通の電子帳簿保存:電子帳簿保存法で定められている最低限の要件を満たしたもの。
優良な電子帳簿保存:普通の電子帳簿保存に加え、検索機能、訂正・削除履歴の保存などの機能が備わったもの。
要件を満たすには、「優良電子帳簿に対応したクラウド会計ソフト」を導入する必要があります。
特に現在簡易的な記帳で済ませている人は、今年から準備を始めましょう。「複式簿記」と聞くと、ハードルが高く感じるかもしれませんが、意外とそれほど難しいものではありません。クラウド会計ソフトを利用すれば、家計簿感覚で入力しても裏側で複式簿記に変換してくれるため、要件をクリアするのは難しくありません。
最初は慣れない操作に戸惑うかもしれませんが、DXを取り入れて効率化できれば、結果的に日々の経理業務によるストレスも軽減されます。収支がタイムリーに可視化され、今後の経営判断にも役立つはずです。
多くのクラウド会計ソフトは優良電子帳簿に対応しています。システム導入にはコストがかかりますが、75万円の控除メリットと業務効率化を考えれば、十分なリターンが見込めるでしょう。
55万円控除の廃止で“紙の申告”は終了へ…事実上義務化される電子申告
もう一つ、影響が大きいのが「55万円控除」の廃止です。現行制度ではe-Taxを利用せず書面で申告しても、複式簿記であれば55万円の控除が受けられました。しかし新制度では、複式簿記であってもe-Tax申告をしない限り、控除額は10万円、あるいは0円になってしまいます。やはり、デジタルに対応していかなければ、メリットを享受できない改正内容となっています。まだe-Taxを利用したことがない人は、この機会に切り替えることを強くお勧めします。
ちなみに、納税時にも自宅からインターネット経由で提出できるため、税務署に出向く必要がなく、税務署の開庁時間を気にせず納付が可能です。

