貸金庫、お持ちですよね?…税務調査官が拾い上げた紙片から、オーナー社長の相続税の追徴「約4,600万円」が発生した、まさかの理由【税理士が解説】

貸金庫、お持ちですよね?…税務調査官が拾い上げた紙片から、オーナー社長の相続税の追徴「約4,600万円」が発生した、まさかの理由【税理士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

資産家の相続の場合、相続手続きが複雑になるケースは珍しくない。相続人がすべて把握しているつもりでも、実際には確認が漏れていたり、思わぬところからお金の流れが発覚したりすることもある。一方で「これぐらいわからないだろう」と高をくくったことで、手痛いしっぺ返しを受けることも…。税理士の都鍾洵(みやこ しょうじゅん)氏が、事例をもとに富裕層の税務調査の実態を解説する。

税務調査官が最初に確認したもの

相続税の申告からしばらくして、税務署から税務調査の連絡が入った。高田社長の財産規模を考えれば、家族も税理士も、調査の可能性は想定していた。

 

調査初日、調査官は高田社長の経歴や家族関係、会社の状況などを質問した。

 

保有不動産についても確認したが、路線価や賃貸状況について細かな議論を続けるわけではなかった。

 

ひととおりの質問を終えると、調査官は話題を変えた。

 

「高田さんは、和歌山銀行に貸金庫をお持ちでしたね」

 

里子さんの表情が、わずかにこわばった。

 

「はい。ただ、権利証などを入れていただけです」

「午後から、確認させていただけますか?」

 

当日、銀行で貸金庫を開けることになった。

 

無機質な金属の扉から取り出した封筒類を、調査官は1つずつ確認していった。不動産の権利証、保険証券、会社の株主関係書類、印鑑、現金…。

 

そして、貸金庫の隅には、無造作に折りたたまれた小さな紙片が落ちていた。一見するとそれは、ただの紙屑のようだった。

 

調査官は奥に手を差し入れると紙片をつまみ出し、丁寧に広げた。

 

「6/4 よしと30」

「6/18 ちか20」

「7/2 たけし30」

 

そこには日付、子どもや孫と思われる呼び名、20や30といった数字が並んでいた。

 

「奥様、これは…?」

 

調査官は、紙片の走り書きを現金交付の記録ではないかと考えたのである。

次ページ現金で渡せば、記録は残らないのか?

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