「減税」と「地方財政」をどう両立させるのか
政府は、地方財政への影響を認識しています。
林総務大臣が約1.6兆円の減収見通しを示したことに対し、財務大臣は地方の減収について「適宜対応する」との考えを示しています。
もっとも、「適宜対応」が具体的に何を意味するのかは、現時点では明らかになっていません。
例えば、国費による補填を行うのか、地方交付税で調整するのか、それとも別の財源を確保するのかによって、地方自治体への影響は大きく異なります。
また、地方消費税の「税率引上げ分」は社会保障4経費の財源として法律上位置付けられているため、税収が減少した場合には、その財源をどのように確保するのかという問題も避けて通ることはできません。
地方自治体が懸念しているのは、単に税収が減ることだけではありません。住民サービスや社会保障制度を維持するための安定財源が失われることへの危機感が背景にあります。
家計支援と地方財政、その両立が今後の焦点
物価高が続くなか、食料品の消費税率を引き下げることには、家計負担を軽減するという分かりやすい効果があります。一方で、その影響は国税収入だけにとどまらず、地方自治体の財政運営や社会保障制度にも及びます。
消費税は国が徴収していますが、その税収は地方交付税や地方消費税として全国の自治体へ配分され、住民生活を支える行政サービスや社会保障の重要な財源となっています。そのため、税率を見直す際には、国と地方の税収配分を一体的に考える必要があります。
食料品の消費税率を1%へ引き下げる政策は、家計支援と地方財政の双方に大きな影響を及ぼす政策です。減税の是非だけではなく、減収となる地方財源をどのように補い、住民サービスや社会保障を維持していくのか――。その具体策こそが、今後の国会審議や税制論議における重要な焦点となるでしょう。
矢内 一好
国際課税研究所
首席研究員
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