医業承継は「制度」の理解と「段取り」の勝負
医業承継の成否を分けるのは、自院の器が「個人」か「法人」かという現実を直視し、それぞれの特性に合わせた最適なカードを切れるかどうかです。
● 個人診療所は、資産を個別に移転させる「切替実務」の負荷は極めて重いものの、時限措置である「個人版事業承継税制」という、税負担を劇的に軽減する最強の武器を行使できます。
● 医療法人は、事業をパッケージとして引き継げるため運営の連続性を確保しやすい一方、特有の「持分課税」や「払戻し請求権」という、経営基盤を揺るがしかねない重いリスクを抱えています。
「法人化すればすべてが解決する」という安易な神話は、承継の局面では通用しません。
むしろ、法人であるがゆえに活用できない優遇策があることも忘れてはなりません。ご自身のクリニックが置かれた状況を冷静に分析し、実務上の精緻な段取りと、税務上の戦略的な対策を同時並行で進めること。それこそが、最善の承継を実現し、地域医療を次世代へ繋ぐ唯一の道です。手遅れになる前に、専門家を交えた具体的な検討を開始することを強くお勧めします。
岸田 康雄
公認会計士/税理士/行政書士/宅地建物取引士/中小企業診断士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会認定)
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