「やりすぎちゃった」…くつろげない家という本末転倒
聡子さんは、こう振り返ります。
「やりすぎちゃったんですよね。夫との楽しい暮らしが一番なのに。帰省してきた娘と息子にも『くつろげない』って言われてしまって」
今はラグを敷き、ソファとテーブルを置き、観葉植物やお気に入りの雑貨も少し戻しました。SNSや雑誌に出てくるような理想の部屋を目指す必要は、自分たちにはなかったのだと気づいたのです。
ただ、片付けを通じて得たものは大きかったといいます。家具の買い戻しや、子供たちの結婚祝いなどの出費はありつつも、貯金はこの3年で250万円以上増えました。
総務省「家計調査(2024年)」によると、高齢夫婦無職世帯の平均的な実収入は月25万円程度である一方、消費支出は約28万円前後となっており、多くの世帯が年金だけでは赤字になっています。
聡子さん夫婦は、このまま60歳ぐらいまで今のペースで働けば、退職金と貯金を合わせて2,000万円以上は確保できる見込みも立ちました。かつての老後への漠然とした不安も薄れました。
家計は改善し、貯金も増え、家は清潔になった――。しかし、暮らしとは効率だけで成り立つものではありません。
お気に入りのカップや趣味の本、旅先で買った思い出の品。それらは生活に必要不可欠ではないかもしれませんが、「あると嬉しい」「あると幸せ」と感じられるものです。極端に突き詰めるよりも、家計と居心地の良さのバランスを取ることが大切なのかもしれません。
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