「今週の土曜日もお願いできる?」増えていく娘からの連絡
金曜の夜、隆之さん(仮名・65歳)が翌日の予定を確認していると、妻の美代子さん(仮名・64歳)のスマートフォンに娘からメッセージが届きました。
「明日なんだけど、また2人を預かってもらえないかな?」
美代子さんが画面を見せると、隆之さんは思わず聞き返しました。
「また預かってほしいって?」
翌日は、夫婦で美術館へ行き、そのあと食事をする予定でした。
娘の真理さん(仮名・38歳)は夫と共働きで、小学2年生の娘と5歳の息子を育てています。以前から孫たちを預かることはありましたが、多くても月に1、2回ほどでした。
状況が変わったのは、隆之さんが65歳で会社を退職してからです。
「お父さんも仕事がなくなったから、前より頼みやすい」
真理さんは悪気なくそう話していました。夫婦も最初は喜んでいました。
保育園の行事がある日、学校が休みの日、真理さん夫婦が休日出勤する日。孫たちを朝から預かり、昼食を作り、公園へ連れていく。夕方に娘夫婦が迎えに来れば、みんなで夕食を食べることもありました。
「孫はかわいいですし、娘が仕事を続けるためならと思っていました」
しかし半年ほどすると、預かる回数は月5、6回に増えていました。土曜日だけでなく、平日の放課後に迎えを頼まれることもあります。
夫婦には月約32万円の年金収入があり、貯蓄も約5,500万円。住宅ローンも完済しており、退職後は国内旅行や趣味を楽しむつもりでした。
ところが旅行の日程を決めようとすると、
「その週は孫を預かるかもしれない」
という話になります。
あるとき、美代子さんが友人との食事を断ったことを知り、隆之さんは尋ねました。
「どうして断ったの?」
「真理が、もしかしたら子どもをお願いするかもって」
「まだ頼まれてもいないのに?」
美代子さんも、そのとき初めて、自分たちの予定を娘一家に合わせることが当たり前になっていると気づきました。
こども家庭庁では、保護者が一時的に子どもの世話をできない場合などに利用できる「一時預かり事業」のほか、地域で子育てを助けてほしい人と援助したい人をつなぐ「ファミリー・サポート・センター事業」などを実施しています。子育てを支える方法は、祖父母に頼ることだけではありません。
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