必要に応じて「飲みニケーション」も必要…金融機関にも仲介業にもできない、「事業承継支援者」に求められる“ソフトな伴走力”とは

必要に応じて「飲みニケーション」も必要…金融機関にも仲介業にもできない、「事業承継支援者」に求められる“ソフトな伴走力”とは
(※画像はイメージです/PIXTA)

高齢化や後継者不足を背景に、日本では「廃業」を選ぶ企業が増えています。「廃業」にはネガティブな印象を持つ人も多いと思いますが、必ずしも「悪」ではありません。事業承継の現場では、将来性や業界構造を踏まえ、あえて廃業を選ぶことが合理的な場合もあります。本稿では、「事業承継支援者」へ向けて、事業承継支援者に求められる役割を整理して解説します。

知識以上に重要な「対話力」…時として“飲みニケーション”も重要

事業承継支援において、私が最も強調したいのは「対話」の力です。知識はもちろん必要ですが、それ以上に、経営者の気持ちに寄り添い、本音を引き出すことが重要になります。

 

前半戦で行うこと…3.対話を通じて知的資産を言語化する

誤解を恐れずにいえば、経営者と酒を酌み交わしながら悩みを聞くような、人間味のあるアプローチは極めて有効です。そうした場でこそ、経営者の頭のなかに眠っている「言葉になっていない経営資源(知的資産)」が少しずつ表に出てきます。それを丁寧に言語化していかなければ、後継者へバトンを渡すことはできません。

 

また、事業承継計画書を作成する際も、単なる書類づくりで終わらせることなく、現経営者と後継者が腹を割って話し合うためのツールとして機能させるべきです。

 

前半戦で行うこと…4.後継者の「継ぐ/継がない」の判断をサポートする

「事業性評価」とは、支援者が経営者や後継者と対話しながら、事業の強み・弱みや将来性を客観的に整理するプロセスです。この「事業性評価」は、金融機関のためだけに行うものではありません。事業承継における事業性評価は、後継者自身が「この事業を継ぐべきかどうか」を見極めるために行います。

 

後継者には、社員として働き続ける、まったく別の分野で起業するなど、多様な人生の選択肢があります。そのなかで、あえて先代の事業を継ぐ価値があるのかどうかを判断するのは後継者自身です。

 

支援者はその判断を助けるために、ローカルベンチマークなどの事業性評価ツールを使い、財務・非財務の両面から自社の強み・弱みを一緒に整理します。こうした客観的な材料を踏まえて後継者が納得して「継ぐ」と決断できなければ、承継後に待ち受ける経営の困難を乗り越えることはできません。

※ ローカルベンチマーク……中小企業庁が公表している「事業性評価ツール」で、財務指標と非財務情報を整理し、自社の強み・弱みを客観的に把握するためのシート。

 

そして、もし評価の結果「事業価値が乏しい」と判断されるのであれば、無理に継がせず「廃業」を選び、価値ある経営資源だけを他社へ引き継ぐという選択肢もあります。

 

支援者には、こうした判断を冷静かつ愛情をもってサポートする“目利き力”が求められます。

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