生命保険の「権利」にも課税!?…節税対策のはずが、相続税と贈与税の「二重課税」に。「生命保険契約」に潜む落とし穴【税理士が解説】

生命保険の「権利」にも課税!?…節税対策のはずが、相続税と贈与税の「二重課税」に。「生命保険契約」に潜む落とし穴【税理士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

身近な人を亡くしたときに避けられない「相続税」。この相続税を抑える対策として「生命保険の活用」が知られていますが、この「生命保険」の保険金を受け取っていない段階、つまりその「権利」にも相続税がかかることをご存じでしょうか。そこで本記事では、生命保険契約に関する権利が「みなし相続財産」として課税対象になる仕組みを、要件・評価方法・裁決事例をとおして解説します。

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負担した保険料の分だけ、相続税の対象になる

④被相続人が保険料の全部または一部を負担していること

吉田課長「④はどのような要件ですか?」

 

この要件は、前掲(1)の算式につながっています。つまり、自らが契約者ではない生命保険契約について、被相続人が保険料を負担していることが条件です。

 

たとえば、被相続人が保険料の80%を負担している場合、その生命保険契約に関する権利のうち80%は被相続人が持っていると考えます。保険料を負担している事実が、生命保険金や生命保険契約に関する権利という経済的価値を生み出す源泉になるのです。

 

吉田課長「被相続人が保険会社に支払っている保険料は、契約者に対する『贈与』と考えることはできないんですか?」

 

この点も先ほどの算式が参考になります。

 

まず、生命保険契約に関する権利の額を計算します。次に、その金額に全体の保険料のうち被相続人が負担した割合を掛けて、みなし相続財産となる被相続人の権利の額を算出する、と規定されています(相続税法3条)。

 

この算式からわかるのは、相続税法は「生前に被相続人から契約者へ保険料を贈与した」とは考えていないということです。生命保険契約に関する権利の額について、相続税または贈与税の対象とする仕組みになっています。

 

つまり、保険料の支払いを贈与とみなすのではなく、契約に基づく権利そのものの経済的価値を課税対象とするということです。これは、他のみなし相続財産とされる死亡保険金や定期金に関する権利、保証期間付定期金に関する権利についても同様です。

生命保険契約に関する権利の評価は「解約返戻金」が基準

吉田課長「生命保険契約に関する権利は、どのように評価(計算)されるのでしょうか?」

 

その方法は、下記(2)の規定に定められています。相続開始時点における解約返戻金の額に、前納保険料や剰余金の分配額などがある場合には、それらを加算した金額とします。具体的には、生命保険会社から計算書を発行してもらうことになります。

 

2.みなし相続財産とされる生命保険契約に関する権利

(2) 生命保険契約に関する権利の評価(財産評価基本通達14)

 

①適用要件……次のイ、ロの要件を満たすこと。

イ.相続開始時点において、まだ保険事故(共済事故を含む)が発生していない生命保険契約に関する権利の評価額についての取扱いであること。

ロ.上記の生命保険契約のうち、一定期間内に保険事故が発生しなかった場合に返還金その他これに準ずるもののの支払がない契約(=掛け捨て型の定期保険)は含まれないこと。

 

②評価額……相続開始時点でその契約を解約した場合に支払われる解約返戻金の額とする。

 

この場合、前納保険料や剰余金の分配額などがある場合には、それらを加算する。また、解約返戻金に源泉徴収されるべき所得税相当額がある場合には、その金額を差し引いた額とする。


吉田課長「具体例があればわかりやすいのですが……」

 

では、平成30年5月23日の国税不服審判所(以下「審判所」)の裁決事例をもとに考えてみましょう。

 

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