(※写真はイメージです/PIXTA)

認知症を発症することで、資産運営や不動産の売買が困難になるのはもちろん、遺言書による相続対策も困難に……。そうした事態を防ぐ備えのひとつとして家族信託という選択肢が挙げられます。本記事では、アパートオーナーがいる家庭における「家族信託」の重要性を司法書士の近藤崇氏が解説します。

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アパートを経営する80代・父が認知症に

近頃、アパートオーナーの父の様子に異変を感じる…

今回、司法書士のもとに相談に訪れたのはAさんです。Aさんの父親は80代、父親は首都圏郊外にある自宅と、自宅の裏や近隣に小規模なアパートを何軒か所有しています。更新時の契約は地元の不動産屋に契約書作成を委託していますが、家賃の集金は父親自ら行い、日常の管理・修繕などは、父親が自ら地元の工務店に発注していました。

 

ただ最近、Aさんが実家に帰った際、父親の様子が以前と若干変わったことが気になっています。数年前に母親が亡くなったあとも家事などは自分で行い、以前はとてもしっかりしていて几帳面な父親でした。

 

しかし、最近では自宅内で物が散乱している状況も目に付くように。また、前は考えられなかったことですが、冷蔵庫の中に賞味期限切れの食品がそのまま忘れさられており、やや異臭がすることにも気が付きました。当の父親にそのことを指摘しても、あまり意に介していないようです。話をしていても急に話題を変えたり、言動に異変を感じたりすることもしばしば……。

 

アパートの家賃の集金についても、少し疎かになっている様子がみられます。家賃が滞納気味の入居者についても、そのままにしており、なかには3ヵ月ほど家賃の滞っている部屋もあるようです。

 

医師「軽度の認知症の症状がみられる」

Aさんは父親に物忘れ外来の受診を勧めました。すると現状は軽いものの認知症の症状がみられること。母を亡くしてから1人暮らしで孤独なため、こうした環境は認知症が進みやすくなる可能性があることも伝えられました。

 

父親は自営業者だったため年金が少なく、アパートの収入が自分自身の生活の糧であることは理解していますが、しかし今後、アパートを自分で管理していく自信や気力がないことをAさんに話してくれました。

 

そこでAさんは司法書士に依頼し、父親とのあいだで家族信託の契約を結ぶことにしました。家族信託の契約形態は少し難しいですが、平易にいうなら、本来ひとつである「所有権」という概念を、「所有」と「管理・処分権限」に分離する、と言い換えられます。家族信託とは委託者(この場合は父親)の財産を、受託者(この場合は子)に移転して、受託者が父親(­=受益者)のための財産を管理する契約です。

 

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本記事は『アパート経営オンライン』内記事を一部抜粋、再編集したものです。

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