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AI企業同士、内輪の巨大な資金循環
今回のAI業界は、そこまでの話ではないものの、AI業界の内輪でカネやモノ(半導体)を融通し合っているという構図は同じである。
半導体企業はお金のないAI開発会社に投資してその資金で自社の半導体を買わせる。AI開発企業のほうもいまはお金がないもんだから、「出世払いにしてくれ」という。なんの話かといえば、オープンAIがアドバンスト・マイクロ・デバイシズ[AMD]に10%出資し、半導体を活用して巨大データセンターを構築するという話。AMDに投資するといってもオープンAIにそんな金はないはずだ。
どうなっているかというと、AMDがオープンAIに対し、最大1億6,000万株分、発行株式の約10%相当の株を購入する権利を付与したのだ。その条件は将来1株あたり1セントでAMD株を購入できるとするもの。まさに出世払い、まさに錬金術である。
これは極端なケースだが、AI企業同士で内輪の巨大な資金循環を生んでいるのは確かだろう。
↓(GPUが必要)
エヌビディア→ 台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング[TSM]に多額の投資(前払い契約・長期調達契約)
↓(製造が必要)
台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング → ファウンドリー設備投資(AI対応) ↓
ハイパースケーラー各社 → データセンター増設
↓
モデル企業(OpenAI/Anthropic など)→ GPU使用料としてAWS/Google Cloudへ支払い
現在のAI投資の大半は、このように業界内の巨大企業が互いのサービス・ハードを買い合う構図になっているのだ。ただ、AI企業が互いに投資するのは、
・供給制約(GPU不足)への対応
・垂直統合による競争優位確保
・自社モデルの訓練インフラを持つため
・将来の巨大な需要を先取りするため
という戦略的理由があるためで単なる「仲間内の金回し」ではなく、意図を持ったキャパシティ構築ではある。外部に大きな(マネタイズを伴った)需要が生まれていないので結果的に内向きの循環になるのは仕方ない。
