年金の受け取りを65歳より遅らせることで、受取額を増やすことができる「年金の繰り下げ受給」。しかし、実際に制度を活用している人は50人に1人だとか。一見、お得に見える制度のネガティブな一面をみていきます。
(※写真はイメージです/PIXTA)
元サラリーマンの年金受取額は「基礎年金+厚生年金」で月17万円
厚生労働省『令和4年 国民生活基礎調査』によると、年金を受給している高齢者世帯において、「収入の100%が公的年金」が44.0%、「80~100%」が16.5%。つまり「収入のほとんどが公的年金」という高齢者は6割以上になります。
老後の生活を支える公的年金ですが、昨今は、「高齢者になっても元気なうちは働く」というのがひとつのスタイル。そういう人におすすめされているのが、年金の繰下げ受給です。これは老齢基礎や老齢厚生年金を65歳で受け取らず、66~75歳までの間で繰り下げて年金を受け取る制度。繰り下げた期間によって年金額は増額となり、その総額率は一生変わりません。また老齢基礎年金と老齢厚生年金は別々に繰り下げすることも可能。給与では足りない部分として老齢基礎年金を受け取り、老齢厚生年金は繰り下げ。会社員を引退したタイミングで増額となった年金を受け取るというようなプランも実現します。
厚生労働省の調査によると、65歳以上男性、厚生年金受給者の月受取額は、併給の老齢基礎年金と合わせて月17万円程度。これを繰り下げ受給したらどうなるのでしょうか。