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昨今のAIバブル懸念とは「AI関連企業の巨額投資は回収できるのか」という不安
ここまでをまとめると株式市場はバブルではないと思う。ただし、問題はAI関連企業のビジネスにおける投資行動にある。昨今の米国におけるAIバブル懸念というものは、主にAI関連企業の過剰投資、すなわち投資額が巨額過ぎて、それに見合うリターンが回収できるのかという不安である。
さまざまなシンクタンクやコンサルティング会社、あるいは金融機関系のリサーチなどから発表されている分析を総括すれば、おおよそ以下のものがAI過剰投資論のコンセンサスといえるだろう。
「個々のハイパースケーラーが年数十~百億ドル単位でAIインフラに投資しており、その合計が数年で数千億ドル~数兆ドル規模になる。それを正当化するには、年6,500億~2兆ドル級のAIビジネスによる収益が必要であり、とても現実的とは思えない」
まあ、そうだろうな、と思う。理屈ではない。まっとうなビジネス感覚としてあり得ないだろうと思う。ただ、その感覚が間違っている可能性も大いにある。なぜなら人間の想像力を越える未来が訪れるかもしれないからだ。
筆者は、2021/07/12のコラム【新潮流】「エクスポネンシャル」でこう述べている。
そしてテクノロジーの進歩はまさにエクスポネンシャル(指数関数的)な速さだ。いまの常識では「あり得ない」と思っても、未来は人間の創造を越えるものになるかもしれない。
こんな話をすればまだ夢があってきれいだが、現実はもう少し、危うい感じがする。今回、AI関連銘柄の大幅調整が始まったきっかけのひとつが、リーマン・ショックを予言した伝説の投資家マイケル・バーリー氏による「AI銘柄売り」である。同氏は「ハイパースケーラーは減価償却期間の延長で利益を粉飾している」と指摘した。世紀の空売り王の指摘で、一気にAI関連にきな臭さが漂いはじめた。
これ以外でもAI業界のベンダーファイナンスの指摘も多くみられる。簡単にいえば、お金がない取引相手にお金を融通して自社の製品を買わせることだ。ITバブル時代には通信機器メーカーがこぞって行った手段である。
ベンダーファイナンスはモノ(通信機器)を買わせるものだが、お金を回していた例が日本のバブル期の財テクである。日本の金融機関がお金を貸し付け、「それで財テクをやりましょう」と持ち掛けて特金(特定金銭信託)などで運用するスキームだ。バックファイナンス付き特金である。応用例が不動産融資であり、その後の日本の不良債権の山となったのは周知のとおりである。
