(※写真はイメージです/PIXTA)

内閣府『高齢社会白書(令和7年版)』によれば、65歳以上の一人暮らし世帯は年々増加し、2025年時点で男性約290万人、女性約524万人と推計されます。今回は、そんな“ひとり老後”を送る78歳女性の例とともに、高齢者の「遠慮」と「現実」に向き合います。

冬の朝、異変を感じた一本の電話

「母が電話口で“家が寒い”と言ったとき、何かおかしいと思ったんです。実家は灯油ストーブがあるはずなのに…」

 

そう語るのは、神奈川県在住の会社員・中田啓太さん(仮名・45歳)。1人暮らしをしている実母・文江さん(仮名・78歳)から、数年ぶりに電話がかかってきたのは、1月のよく冷え込んだ朝のことでした。

 

「電話の声が震えていたし、“最近あんまり食べられないの”なんて、弱気なことも言っていて。これは普通じゃないと思って、急きょ帰省したんです」

 

中田さんの実家は、北関東の小さな団地の一室。築年数も古く、暖房は灯油ストーブのみ。高齢者には決して優しい環境とは言えません。

 

「玄関を開けた瞬間、冷たい空気が肌を刺しました。暖房の気配がまったくなくて、母は布団の中で何枚も毛布をかぶっていました」

 

中田さんが見たのは、暖を取れず凍える母の姿だけではありませんでした。

 

「テーブルの上に、半分食べかけでカビが生えたおにぎりがあったんです。灯油缶も完全に空になっていて。生活が“止まっている”ように見えました」

 

文江さんは、食欲もなく、灯油を買いに行く元気もないまま数日を過ごしていたといいます。

 

「母に“なんで誰にも言わなかったの?”と聞いたら、ポツリと“誰にも迷惑かけたくないの”と…」

 

文江さんは、年金月16万円の中でやりくりしながら一人暮らしをしてきました。

総務省『家計調査(2024年)』によれば、65歳以上単身無職世帯の平均支出は月約15万円、うち“食料費”が約4.2万円、“光熱・水道”が約1.4万円。決して贅沢をしていなくても、ちょっとした体調不良や冬の寒波で、暮らしは簡単に崩れてしまいます。

 

「母の口座には少しずつ積み立てていた貯金もあったんです。だから“お金がない”わけじゃなかった。でも、灯油の配達を頼む電話さえ、遠慮してしまっていたみたいです」

 

 \2月7日(土)-8日(日)限定配信/
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相続税の「税務調査」の実態と対処法

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※本記事のインタビューではプライバシーを考慮し、一部内容を変更しています。

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