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保険料の「負担者」と「受取人」によって、「課税区分」が変わる
吉田課長「前掲【「みなし相続財産」の概要】2.「死亡保険金」がみなし相続財産とされる場合にある、算式の意味を教えてください」
この式は、死亡保険金のうち、被相続人が負担した保険料に対応する部分だけが「みなし相続財産」として相続税の課税対象になることを意味しています。つまり、保険料を誰が支払ったかによって、課税の種類(相続税・所得税・贈与税)が変わってきます。
吉田課長「なるほど。1つの生命保険契約で、夫婦が共同で保険料を支払うことはあるのですか?」
実際には、そうしたケースはほとんどないでしょう。ただし、複数の人が保険料を負担する可能性もあるため、その場合に相続税の課税対象となる保険金を明確にするために、この算式が用意されています。
吉田課長「たとえば、亡くなった父(被相続人)が保険料の80%を、母(配偶者)が20%を支払っていた場合はどうなりますか?」
被相続人が支払った保険料(80%)に対応する死亡保険金は、ここまでみてきたように「みなし相続財産」として相続税の対象になります。
残りの20%の保険料に対応する死亡保険金については、受取人が誰かによって課税の種類が変わります。保険金を支払った配偶者が受取人である場合、その部分は所得税の課税対象になります。
吉田課長「ええっ! そうなんですね。どうしてでしょうか?」
配偶者が自分のお金で保険料を支払い、その保険金を受け取っているためです。支払った保険料と受け取った保険金との差額は、配偶者が保険に投資して得た利益とみなされるため、所得税が課されます。
吉田課長「では、亡くなった父(被相続人)が保険料の80%を、母(配偶者)が20%を支払っていたとして、受取人が長男(保険料を支払っていない人物)だった場合、どうなりますか?」
なるほど、この場合、保険料の20%に対応する死亡保険金が問題となりますね。
保険料の20%に対応する死亡保険金は、長男が母に保険料を負担してもらって得た収入とみなされます。したがって、長男が母から贈与を受けたと考え、その部分には贈与税が課税されます。
