相続人11人の遺産、どう分けられる?…保険金の受取人を「相続人」と指定して亡くなった夫→妻は825万円ゲットも、きょうだいは27.5万円ずつ…知らないと損する「死亡保険金」の分配ルール【税理士が解説】

相続人11人の遺産、どう分けられる?…保険金の受取人を「相続人」と指定して亡くなった夫→妻は825万円ゲットも、きょうだいは27.5万円ずつ…知らないと損する「死亡保険金」の分配ルール【税理士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

身近な人を亡くしたとき、遺族が受け取る死亡保険金には、思いがけず相続税がかかることがあります。「故人が持っていた財産」だけでなく、「みなし相続財産」として扱われる財産があるからです。今回はその「みなし相続財産」のなかでも「死亡保険金」に焦点をあて、相続税の対象になる条件や非課税になる特例、保険料の負担者と受取人によって変わる課税区分などについてみていきましょう。実際の裁判例や法令にもとづき、多田雄司税理士が解説します。

ゴールドオンライン新書最新刊、Amazonにて好評発売中! 

『司法書士が全部教える 「一人一法人」時代の会社の作り方【基本編】』
加陽麻里布(著)+ゴールドオンライン (編集)

『富裕層が知っておきたい世界の税制【カリブ海、欧州編】』
矢内一好 (著)+ゴールドオンライン (編集)

『司法書士が全部教える 「一人一法人」時代の会社の作り方【実践編】』
加陽麻里布(著)+ゴールドオンライン (編集)

シリーズ既刊本も好評発売中 → 紹介ページはコチラ!

死亡保険金と「特別受益」の関係

吉田課長「話は変わりますが、贈与についてお聞きします。相続人が被相続人の生前に、たとえば住宅資金の贈与を受けているケースがありますよね。相続税では、こうした生前贈与を考慮した遺産分割の特例があると聞いたのですが?」

 

はい、それは前掲【「みなし相続財産」の概要】「3.特別受益者の相続分」の規定ですね。これは、生前に多くの財産をもらっていた相続人が、相続のときに不公平にならないようにするために定められています。

 

具体的には、相続開始時(=被相続人の死亡時)の遺産総額に、生前に贈与された金額を加えた合計額をもとに、以下のいずれかの方法で相続分を算定します。

 

(1)法定相続分(民法900条)

(2)代襲相続人の相続分(民法901条)

(3)遺言による相続分の指定(民法902条)

 

そのうえで、すでに受け取っている贈与や遺贈の金額を差し引いた残りが、各相続人の実際の相続分となります。

 

たとえば、長男が亡くなった父(被相続人)から生前に1,000万円の住宅資金をもらっていた場合、この1,000万円を加えた遺産総額のうち、相続分として3,000万円もらえるはずだったとしても、すでに1,000万円もらっていることから、残りの2,000万円だけが相続できるということになります。

 

吉田課長「なるほど。では、被相続人が生前に保険料を支払っていた場合、相続人は死亡保険金を受け取れますよね? その保険料の支払いが生前贈与にあたるとすれば、死亡保険金も『特別受益』に該当するのではないですか?」

 

言い換えると、「死亡保険金は民法903条1項に規定される『遺贈』または『贈与』にあたるのではないか」というご質問ですね。

 

この点について、平成16年10月29日の最高裁判決では、「養老保険契約に基づく死亡保険金請求権」について、以下の6つの理由から特別受益には該当しないと判断しています。

 

1.保険金は、受取人が自らの固有の権利として取得するものである。

2.保険契約者や被保険者から承継して取得するものではない。

3.保険金請求権は保険契約者や被保険者の相続財産に含まれない。

4.被保険者の死亡によって初めて発生する権利である。

5.保険料と保険金は等価関係にない。

6.被保険者の労働力の代替としての性質もない。

 

吉田課長「なるほど。つまり、死亡保険金は相続財産とは別枠で扱われ、特別受益にも該当しないということですね」

死亡保険金については、「500万円×法定相続人の数」までの金額が非課税に

吉田課長「実際に保険金を受け取る場面では、税金の負担も気になります。相続税でも非課税の特例があると聞いているのですが、本当ですか?」

 

はい、そのとおりです。詳細は前掲【「みなし相続財産」の概要】「4.死亡保険金の非課税枠(相続税法12条)」を参照ください。

 

この特例は相続人に限って適用されるものですが、死亡保険金については、「500万円×法定相続人の数」までの金額が非課税となります。この非課税枠は、死亡保険金に関する最大の優遇措置といえるでしょう。

 

 

多田 雄司

税理士

 

注目のセミナー情報

【海外不動産】12月18日(木)開催
【モンゴル不動産セミナー】
坪単価70万円は東南アジアの半額!!
世界屈指レアアース産出国の都心で600万円台から購入可能な新築マンション

 

【事業投資】12月20日(土)開催
東京・門前仲町、誰もが知る「超大手ホテルグループ」1階に出店!
飲食店の「プチオーナー」になる…初心者も参加可能な、飲食店経営ビジネスの新しいカタチとは?

 

【関連記事】

■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】

 

■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」

 

■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ

 

■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】

 

■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】

 

カインドネスシリーズを展開するハウスリンクホームの「資料請求」詳細はこちらです
川柳コンテストの詳細はコチラです アパート経営オンラインはこちらです。 富裕層のためのセミナー情報、詳細はこちらです 富裕層のための会員組織「カメハメハ倶楽部」の詳細はこちらです 不動産小口化商品の情報サイト「不動産小口化商品ナビ」はこちらです 特設サイト「社長・院長のためのDXナビ」はこちらです オリックス銀行が展開する不動産投資情報サイト「manabu不動産投資」はこちらです 一人でも多くの読者に学びの場を提供する情報サイト「話題の本.com」はこちらです THE GOLD ONLINEへの広告掲載について、詳細はこちらです

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録