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節税と脱税のグレーゾーン「租税回避」の落とし穴
個人が「資産防衛」を行ううえでは、短期間ではなく、ある程度時間をかけることを前提に戦略を立てることが肝要です。また、税法が認めている範囲内で税負担を軽減する「節税」は積極的に行うべきでしょうが、事実の隠匿・隠蔽等を行うことで税負担を免れようとする「脱税」は、決して行ってはいけません。
問題は、税法が想定していない方法で税負担を軽減しようとする「租税回避」を行うべきか否かです。これについては、税に対する考え方によって個々人で結論が異なるのではないでしょうか。
しかし、たとえ「租税回避」であっても、その税負担の軽減額が大きい場合には、課税当局の“伝家の宝刀”である「同族会社等の行為又は計算の否認規定」が、納税者に対して適用される可能性があります。
こうしたリスクを避けたいと思うのであれば、租税回避は行うべきではないかもしれません。
では、合法的かつ持続的に取り組める方法で、「資産防衛」として行えるものにはどのようなものがあるのでしょうか。
生前贈与、生命保険、不動産…8つの「資産防衛策」
資産防衛策としては、下記の8つが挙げられます。
1.資産全体の把握と相続税のシミュレーション
まずは、現金・不動産・株式・保険等を把握し、相続税の試算を行いましょう。そして、試算の結果納税資金が不足するようであれば、次のステップとして、相続税の節税対策、納税資金の捻出等について検討します。
2.生前贈与の活用
年間一定額までの「暦年贈与」や、「相続時精算課税制度」、また、教育資金や結婚・子育て資金、住宅取得資金の非課税贈与制度などを組み合わせ、「生前贈与」を行うことを検討するとよいでしょう。
3.生命保険の活用
生命保険には、相続税の納税資金の確保に役立つ非課税枠があります。具体的には、「1人あたり500万円×法定相続人」の保険金が非課税となるため、相続発生時の資金不足を防ぐ手段として有効です。
4.小規模宅地の特例等、不動産戦略の検討
不動産を活用した資産防衛の手段としては、「貸家建付地における小規模宅地等の特例」の適用状況を確認し、自宅や賃貸物件の評価額を適正に引き下げることが、相続税の軽減につながります。
また、銀行からの借入による不動産購入も資産防衛策のひとつですが、税務署から疑われるリスクが高いため注意が必要です。この点、自己資金で不動産を取得する場合は、資金の出所や購入の意図が明確であることから、税務署からの否認リスクは相対的に低くなるといえます。
ただし、不動産は流動性が低いため、納税資金確保の観点から、事前に分割などを検討しておくことが望ましいです。
