ゴールドオンライン新書最新刊、Amazonにて好評発売中!
『司法書士が全部教える 「一人一法人」時代の会社の作り方【基本編】』
加陽麻里布(著)+ゴールドオンライン (編集)
『富裕層が知っておきたい世界の税制【カリブ海、欧州編】』
矢内一好 (著)+ゴールドオンライン (編集)
『司法書士が全部教える 「一人一法人」時代の会社の作り方【実践編】』
加陽麻里布(著)+ゴールドオンライン (編集)
シリーズ既刊本も好評発売中 → 紹介ページはコチラ!
超高額所得者に対する税負担の適正化
令和7年分の所得税から、「1億円の壁」の問題を解決するために、次の措置(「特定の基準所得金額の課税の特例〔措法41の19〕」)が導入されます。この法律は令和5年度税制改正で成立しましたが、適用は令和7年分以後からです。
◆制度の概要
基準所得金額から3億3,000万円を控除した金額に22.5%の税率を乗じ、その金額が基準所得税額を上回る場合には、その超過額に相当する所得税を課す仕組みです。
この制度は、高額所得者ほど実効税率が低下し、税負担の公平性が保たれていないという問題を是正するために設けられました。ただし、控除額である3億3,000万円が大きすぎるとの批判もあります。
「1億円の壁」の背景
一般に、所得が1億円を超えると、所得税の負担率が低下する傾向があると指摘されています。主な原因は、超高額所得者では所得全体に占める金融所得の割合が高いためです。
財務省の資料(令和4年10月18日・政府税制調査会第19回総会、財務省参考資料「個人所得課税」)によれば、令和2年分における合計所得1億円超の納税者(総額:約5.6兆円)の所得内訳は次のとおりです。
非上場株式等の譲渡所得:約1.5兆円(27.4%)
分離長期譲渡所得(土地・家屋):約1.2兆円(21.3%)
上場株式等の譲渡所得:約0.8兆円(14.4%)
このように、高所得者ほど株式や不動産の譲渡所得の比重が大きくなります。金融所得は一律20%で課税されるため、給与所得や事業所得(最高税率55%〔地方税含む〕)に比べて税負担が軽くなり、結果的に高額所得者ほど負担率が低下していくのです。
