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富裕層に有利か不利か…早期是正が求められる日本の「相続税」
日本の相続税率は最高で55%と、主要国のなかでも比較的高い水準にあります。
とはいえ、現在、相続税の基礎控除は「3,000万円+法定相続人の数×600万円」と定められており、相続税は一部の富裕層だけでなく、より幅広い層に課税されるものとなっています。
このように、相続税はより多くの国民にとって身近な制度となっている一方で、近年、将来への不安からか、金融資産等を多く保有する高齢者が増加しており、これが資産格差の固定化や世代間の不均衡を助長する要因となっています。
こうした背景から、相続税制度の早急な見直しが求められています。
また、国際的にも、OECDやIMFが格差是正の観点から「資産課税・相続税の強化」を提言しており、日本もこの流れに沿った制度改革を進めるべきとの声が高まっています。具体的には、非上場株式の評価方法や株式の譲渡課税、事業承継税制の見直しなど、富裕層に有利とされる特例措置の濫用を防ぐための制度整備が必要だと指摘されています。
ただし、過度な課税強化は富裕層が資産を海外に移す、いわゆる「キャピタル・フライト」を招くリスクもはらんでいます。
たとえばシンガポール(2008年に遺産税「Estate Duty」を廃止)や香港のように、相続税を課さない国もあり、日本だけが過度に課税を強化すると、富裕層の資産が海外に流出する可能性があります。
実際、かつて台湾では相続税が高かったために、多くの富裕層が海外に移住しました。その後、政府が相続税を引き下げたものの、一度海外に移った富裕層は戻ってこなかったといいます。
