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「国際ルール」と国内の財政状況とのバランスが課題に
4.生前贈与(贈与税)と相続課税の一体化
贈与税と相続税の一体化は、税制の公平性や資産移転効率化の観点から、議論が進んでいる政策のひとつですが、現時点では実現にいたっていません。
この一体化により、富の移転を前倒しする効果が期待されています。
5.若年層への資産移転の促進→相続時精算課税の見直し
平成15(2003)年度に創設された「相続時精算課税制度」は、生前贈与をした場合に、受贈者の選択によって、贈与時に特別な計算による贈与税を支払い、その後相続税を納付する際に贈与税分を精算するという制度です。
この仕組みにより、お金を必要とする若い世代に対して生前贈与を行い消費を促すことで、経済を活性化させようという目的があります。
6.国際的な富裕層課税のバランス
国際的な視点から富裕層に対する課税のあり方を検討し、各国の税制との調和を図ることが重要です。過度な課税による資産の国外流出を防ぎつつ、公平な課税を実現するバランスが求められています。
7.富裕層の資産移転の防止→「CRS体制」による情報交換の徹底
富裕層による租税回避や資産の国外移転を防止するため、OECDが推進する共通報告基準(CRS)を活用した情報交換体制の徹底が必要です。これにより、国際的な透明性を高め、不正行為の抑止を図っています。
8.国際的な富裕層課税ルールとの調和
日本の税制が国際基準と乖離しないよう、国際的な課税ルールとの整合性を確保することが不可欠です。
9.財政再建とのバランス→高齢化と社会保障費増大→財源がひっ迫
高齢化や社会保障費の増大により財政状況がひっ迫しているなかで、富裕層課税を強化する政策を進める際には、経済成長や税収確保のバランスを慎重に考慮する必要があります。
目指すは「公平性・実効性・国際協力」の3点が揃った相続税制度
このような政策課題を前提として、今後、日本の相続税は、生前贈与の一体化課税、不動産評価や租税回避スキームへの規制強化、そして国際的課税強調との連動が進むものと考えられます。
ただ、繰り返しますが、過度な税負担は富裕層の海外流出を招くリスクがあります。したがって、税制の公平性・実効性・国際協力の3点を同時に満たすバランスのいい改革が必要となるでしょう。
八ツ尾 順一
大阪学院大学法学部 教授
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