ゴールドオンライン新書最新刊、Amazonにて好評発売中!
『司法書士が全部教える 「一人一法人」時代の会社の作り方【基本編】』
加陽麻里布(著)+ゴールドオンライン (編集)
『富裕層が知っておきたい世界の税制【カリブ海、欧州編】』
矢内一好 (著)+ゴールドオンライン (編集)
『司法書士が全部教える 「一人一法人」時代の会社の作り方【実践編】』
加陽麻里布(著)+ゴールドオンライン (編集)
シリーズ既刊本も好評発売中 → 紹介ページはコチラ!
不動産評価の歪み、租税特別措置法…具体的な「政策課題」
日本の具体的な「政策課題」としては、下記の9つが挙げられます。
1.不動産評価の歪み(路線価と実勢価格の乖離)
現状、日本の不動産評価において、「路線価」は「実勢価格」の約7〜8割程度に設定されており、路線価と実勢価格に乖離が起きています。
この乖離が大きすぎると相続税の公平性や適正評価に問題が起きることから、これを調整する仕組みや見直しが必要です。具体的には、土地の評価方法を決めている「財産評価基本通達」を見直し、こうした不動産評価の歪みを是正する必要があるでしょう。
なお、我が国の土地の価格指標には、「公示価格」「都道府県基準地価格」「路線価による相続税評価額」そして「固定資産税評価額」があります。
これらの価格は、それぞれ違う基準や目的で使われることからかつては乖離やズレが大きかったものの、平成3(1991)年に「総合土地政策推進要綱」が閣議決定され、こうした指標について価格指標の均衡化が図られました。
具体的には、相続税評価では平成4(1992)年度から土地の評価割合を公示価格の8割程度、固定資産税評価額では平成6(1994)年度以降の評価替えにおいて同様に7割程度とされ、それ以降「公示価格:相続税評価額(路線価):固定資産税評価額」は「10:8:7」の関係にあります。
ためしに、令和6(2024)年度の固定資産税評価額と令和5(2023)年度分相続税評価額の関係を上記の式に当てはめてみると、「令和6年度固定資産税評価×1.14倍(8÷7)=令和5年度分相続税評価額」となります。
このように、「総合土地政策推進要綱」で価格指標の調整は進んだものの、それ以降も実勢価格と相続税評価額の乖離は依然として続いています。したがって、「財産評価基本通達」の見直しは、現時点でも重要な政策課題であるといえます。
2.タワーマンション節税・法人化スキームの規制強化
居住用の区分所有財産の評価方法については、令和5(2023)年10月6日「新たな評価方法」が通達されましたが、1棟マンションに関してはこの新たな評価方法の適用対象外となっています。
したがって、1棟マンションを活用した税金対策が依然として可能な状態にあり、課題が残っているといえます。
3.「租税特別措置法」等の特例の見直し
「租税特別措置法」とは、政府が特定の政策目的を達成するために設けた「政策税制」のひとつで、以下のように、多くの富裕層に対して減税の特例が設けられています。
イ.住宅取得等資金の贈与の特例(措法70の2)
ロ.直系尊属からの教育資金の一括贈与の非課税(措法70の2の2)
ハ.結婚・子育て資金の一括贈与の非課税(措法70の2の3)
