上場投資信託(ETF)投資家からの需要回復ならびに中央銀行とアジアの個人投資家による根強い買いを受け、金価格は初めて1オンス3,000米ドルを突破しました。本記事では、ステート・ストリート・インベストメント・マネジメントが、金価格にはまだ上昇余地があると考える理由について解説します。
アジア太平洋(APAC)地域の金保有量増加が金の高騰に寄与
APAC地域における金の現物保有量は過去5年で大幅に増加し、金価格の上昇レジームを支えてきました。中国、インド、日本にけん引された力強い金投資需要を促してきたのは、景気の先行き不透明感、不安定な地政学要因、現地通貨の下落、金と比較したリスク資産のアンダーパフォーマンスです。実際、世界の金地金・金貨需要に占めるAPAC地域の割合は2024年に65%と、2020年の消費不況から完全に回復し、2010~2019年の中央値を2%ポイント上回っています(図表6)。
中国の投資需要の拡大を促してきたのは、国内の株式・不動産市場の低迷、資本規制による信頼できる代替資産の不在、中国の景気浮揚策をめぐる不透明感、そしてより最近でいえば人民元安です。一方、インドの需要を促してきたのは、力強い国内経済、人口1人あたりの所得の増加、インドルピー安です。この2ヵ国で世界の金地金・金貨需要の約50%を占めており※21、当社はこのトレンドは今後数年にわたり(たとえ強まらなくとも)安定的に推移するとみています。
日本では、円建ての金の投資信託や金ETFへの純資金流入額が2020年から2023年の年平均4億7,700万米ドルから、2024年には18億9,800万米ドルに急増しました※22。
規制変更と政府の新たな政策措置が地域の金保有量の増加に寄与しており、中期的にAPAC地域の需要のさらなる支援材料になるでしょう。当社は主に以下の政策措置に注目しています。
・中国:保険会社10社に資産総額の最大1%まで金への配分を認めるパイロット・プログラムを2024年2月に発表※23。
・香港:金の貯蔵施設の建設や金関連の規制整備を通じて香港を国際的な金の取引セクターに育成するための政府の取り組み※24。
・インド:2024年7月に、金の輸入関税を15%から6%に、金鉱石の関税を14.35%から5.35%に引き下げたほか、金の長期キャピタルゲインとみなされる保有期間を36ヵ月から24ヵ月に短縮※25。
・日本:銀行預金に眠っている資金を長期投資に向かわせるため、2024年1月に新NISA(少額投資非課税制度)がスタート。成長投資枠では金の投資信託や金ETFなどにも投資可能※26。
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ステート・ストリート・インベストメント・マネジメントは、約半世紀にわたり、機関投資家、金融プロフェッショナル、そして個人投資家に、より良い成果をもたらしてきた。
インデックス運用やETF(上場投資信託)分野における早期からの取り組みを含め、同社の投資手法は、市場に裏付けられた運用ノウハウと、投資家ニーズへの継続的な対応を基盤としている。
2025年6月末時点において、ステート・ストリート・インベストメント・マネジメントが関与する運用資産残高は5兆米ドルを超えており、60カ国以上の顧客に対してサービスを展開している。その中には、グローバル規模での戦略的パートナーシップを通じた提供も含まれ、コスト効率に優れた幅広い投資手段を提供している。ETFの運用資産総額1兆6,898.3億米ドルを含み、そのうち約1,160.5億米ドルは、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ・ファンズ・ディストリビューターズ・エルエルシー(「SSGA FD」)がマーケティング・エージェントを行っているSPDRの金の資産となっている。SSGA FDはSSGAの関連会社で、すべての運用資産残高は監査前の数値。
なお、ステート・ストリート・インベストメント・マネジメントは、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ株式会社が行う資産運用関連業務のブランド名である。
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連載【ステート・ストリート・インベストメント・マネジメント】金市場を徹底分析
【注釈】
*経済的な混乱時に他の投資の価値が下落しても、価値が安定または上昇すると投資家に認識されている資産は、「セーフヘイブン(安全資産)」と見なされることがあります。ただし、こうした資産が常に価値を維持するという保証はありません。
※1 ミシガン大学調査、2025年4月
※2 ブルームバーグ・ファイナンスL.P., ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ、LBMA、2025年5月
※3 ブルームバーグ・ファイナンスL.P., ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ、2025年5月
※4 ブルームバーグ・ファイナンスL.P., ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ、2025年5月
※5 ワールド・ゴールド・カウンシル、2025年4月
※6 ブルームバーグ・ファイナンスL.P., ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ、2025年5月.
※7 中国海関総署、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ、2025年4月
※8 LBMA、SGE、2025年5月
※9 国際金融協会、2025年3月31日
※10 米国投資信託協会、2025年5月20日25.
※11 ブルームバーグ・ファイナンスL.P., ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ、2025年5月31日時点
※12 ブルームバーグ・ファイナンスL.P., ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ、2025年5月31日時点
※13 ブルームバーグ・ファイナンスL.P., ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ、2025年5月31日時点
※14 ブルームバーグ・ファイナンスL.P., ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ、2025年5月31日時点
※15 米国議会予算局、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ、2025年5月31日時点のデータ
※16 米国議会予算局、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ、2025年5月31日時点のデータ
※17 ワールド・ゴールド・カウンシル、2025年5月
※18 ワールド・ゴールド・カウンシル、2025年5月.
※19 ワールド・ゴールド・カウンシル、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ、2025年5月
※20 ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ、2025年5月
※21 ワールド・ゴールド・カウンシル、グローバル需給トレンド、2025年5月.
※22 東京証券取引所、2024年12月31日
※23 ワールド・ゴールド・カウンシル、2025年2月
※24 グローバル需給トレンド、ワールド・ゴールド・カウンシル、2024年7月
※25 グローバル需給トレンド、ワールド・ゴールド・カウンシル、2024年7月
※26 グローバル需給トレンド、ワールド・ゴールド・カウンシル、2024年7月
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Exp.Date:6/22/2026