(画像はイメージです/PIXTA)

上場投資信託(ETF)投資家からの需要回復ならびに中央銀行とアジアの個人投資家による根強い買いを受け、金価格は初めて1オンス3,000米ドルを突破しました。本記事では、ステート・ストリート・インベストメント・マネジメントが、金価格にはまだ上昇余地があると考える理由について解説します。

「解放の日」の影響が続き、金ETFの需要が増大する可能性

世界の貿易政策は金の投資家にとって特に関心のある話題ですが、興味深いのは、トランプ政権が貿易戦争を一段と拡大させた「解放の日」以前の第1四半期の金価格のリターンが1986年以来の高水準をつけた点です※4。ファンダメンタルズの観点からは、金ETFに対する投資家需要は金の現物の需給バランスを引き締めます。そのため、他の需要源を制限するため、またはスクラップのリサイクル活動のインセンティブを促して供給増加につなげるために、金価格は上昇する必要があります※5

 

金融商品への資金流入、特に西側諸国の金ETF投資家が再び市場に戻れば、2025年の金需要は記録的な伸びを示し、その結果、金価格は当社の強気シナリオである1オンス3,500~3,900米ドルまで上昇する可能性があります。

 

流動的な貿易政策はこうした資金フローに影響する要因です。投資家には関税措置の実施時期や最終的な税率が不明なことから、これが市場のボラティリティを冗長しています。当社も明確な答えを持っているわけではありませんが、政府と投資家が金融、経済、通貨に対する米国の支配的立場を疑問視するなか、トランプ政権の地経学的政策が金に有利に働く可能性もあるとみています。

 

[図表2]グローバル金ETFの月次資金フローは2025年に流入超に転換出所:ブルームバーグ・ファイナンスL.P.,、ステート・ストリート・インベストメン
ト・マネジメント、2025年5月19日時点

 

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【注釈】
*経済的な混乱時に他の投資の価値が下落しても、価値が安定または上昇すると投資家に認識されている資産は、「セーフヘイブン(安全資産)」と見なされることがあります。ただし、こうした資産が常に価値を維持するという保証はありません。

※1 ミシガン大学調査、2025年4月
※2 ブルームバーグ・ファイナンスL.P., ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ、LBMA、2025年5月
※3 ブルームバーグ・ファイナンスL.P., ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ、2025年5月
※4 ブルームバーグ・ファイナンスL.P., ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ、2025年5月
※5 ワールド・ゴールド・カウンシル、2025年4月
※6 ブルームバーグ・ファイナンスL.P., ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ、2025年5月.
※7 中国海関総署、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ、2025年4月
※8 LBMA、SGE、2025年5月
※9 国際金融協会、2025年3月31日
※10 米国投資信託協会、2025年5月20日25.
※11 ブルームバーグ・ファイナンスL.P., ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ、2025年5月31日時点
※12 ブルームバーグ・ファイナンスL.P., ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ、2025年5月31日時点
※13 ブルームバーグ・ファイナンスL.P., ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ、2025年5月31日時点
※14 ブルームバーグ・ファイナンスL.P., ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ、2025年5月31日時点
※15 米国議会予算局、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ、2025年5月31日時点のデータ
※16 米国議会予算局、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ、2025年5月31日時点のデータ
※17 ワールド・ゴールド・カウンシル、2025年5月
※18 ワールド・ゴールド・カウンシル、2025年5月.
※19 ワールド・ゴールド・カウンシル、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ、2025年5月
※20 ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ、2025年5月
※21 ワールド・ゴールド・カウンシル、グローバル需給トレンド、2025年5月.
※22 東京証券取引所、2024年12月31日
※23 ワールド・ゴールド・カウンシル、2025年2月
※24 グローバル需給トレンド、ワールド・ゴールド・カウンシル、2024年7月
※25 グローバル需給トレンド、ワールド・ゴールド・カウンシル、2024年7月
※26 グローバル需給トレンド、ワールド・ゴールド・カウンシル、2024年7月

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