「金投資」について知っておきたい「5つ」のこと
金の希少性は2024年末時点での地上の在庫の総量がオリンピック公式競技用プールの約4.5杯分、埋蔵分の約1.1杯分を合わせても約5.6杯分といわれる限られた資産であることに裏付けられています(図表1)。
2) 出所:ステート・ストリート・インベストメント・マネジメントによる推定計算。過去のパフォーマンスは、将来のパフォーマンスの信頼できる指標ではありません。上図は例示目的として記載。
この希少性の高さのために、危機時やインフレ時に資金の逃避先として選ばれやすい金を保有資産に加えることで、資産全体のパフォーマンスが衝撃に対する耐性を持ちうることがわかっています。以下、5つのポイントを説明しましょう。
1.分散効果:金は株式や債券と異なる動きをする傾向があるため、組み入れによって保有資産が価格変動の影響を受けにくくなる可能性がある
金相場の動きは株式や債券の動きとの相関が弱いことから、保有資産が価格変動から受ける影響を抑えることができます。金と各資産の相関関係をみると、両者が同じ方向に動く順相関でも逆に動く逆相関でもなく、相関がほぼないゼロに近い結果です。このため株や債券の値動きにほぼ連動しない金を組み込むことで保有資産の多くが下落圧力にさらされた場合の衝撃吸収効果や、上昇している際にもパフォーマンスをよりよくすることに貢献します。
2. 危機時の備え:金は金融市場のさまざまなリスクに対し、金が逃避先として選ばれる傾向があります
ロシアによるウクライナ侵攻や中東の地政学リスク、2008年の金融危機や新型コロナウィルスのパンデミック(世界的流行)、関税引き上げを中心とした貿易戦争など、金融市場はさまざまなリスクにさらされています。金は市場が混乱している状況で資金の逃避先として選好される傾向にあります。パフォーマンスベースでも危機下において高パフォーマンスをあげています。たとえば過去に米国の代表的な株価指数であるS&P500指数が15%以上下落した際の金価格のパフォーマンスをみると、上昇か下げても株価指数よりも下げが限定されていました(図表2)。