(画像はイメージです/PIXTA)

上場投資信託(ETF)投資家からの需要回復ならびに中央銀行とアジアの個人投資家による根強い買いを受け、金価格は初めて1オンス3,000米ドルを突破しました。本記事では、ステート・ストリート・インベストメント・マネジメントが、金価格にはまだ上昇余地があると考える理由について解説します。

金価格強気見通しの「5つ」の根拠

米国の対中国/対世界の貿易政策ならびに地政学的見通しが引き続き極めて不透明ななか、当社は以下の5つのテーマが金価格の強気見通しの支援材料になるとみています。

 

1.金ETFへの資金流入増加の可能性

2020年末から2024年半ばまでの3年半に及ぶポートフォリオ調整サイクルを経て、現在投資家には金ETFの保有を増やす十分な余地があります。年初来で大量の資金が流入しているにもかかわらず(図表2)、現物で裏づけされた金ETFによる世界全体の金保有量は2020年第4四半期のピークを依然として約20%下回っています※6

 

2.中国の消費者による金購入が回復

2025年第1四半期の中国の個人による金輸入は価格高騰が響き低調でした※7。しかし米国の「解放の日」以降、中国国内の金価格プレミアムは上昇しており※8、国内金需要は前四半期比である程度反発すると予想されます。また中国政府は保険会社などの非伝統的セクターの金投資を押し上げるための政策も打ち出しています(以下のアジア太平洋[APAC]地域に関するセクションをご参照ください)。

 

3.公的セクターの金需要は引き続き力強く推移する公算大

当社は2025年に公的セクターは世界金融危機以降16年連続で金を買い越すと予想しています。中央銀行の金需要により、金の価格急落は限定され、下値は切り上がります。また政府機関は価格に影響されることなく戦略的に金を購入する傾向があります。

 

4.フィアット通貨の代替資産に対する需要と世界の債務が金価格の上昇をサポート

世界の債務残高は2025年第1四半期に324兆米ドルを突破して過去最高を更新し、セクター別では政府の占める割合が約30%と、過去最高となりました(図表3)※9。この状況は短期的に解消する公算は小さく、記録的な債務残高に支えられ金価格は高水準にとどまるとみられます。

 

[図表3]世界のセクター別債務残高は世界金融危機後、コロナ禍後に急増出所:世界金融協会(ITF)、ステート・ストリート・インベストメント・マネジメ
ント、2025年3月31日時点

 

5.FRBは依然として利下げ姿勢を維持

2025年には25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利下げが1回もしくは2回にとどまるかもしれませんが、実質金利およびデュレーション・チャネルを通じて金はおそらくさらに恩恵を受けるでしょう(ただし、その関係はここ数年それほど強くありません)。しかしマネー・マーケット・ファンド(MMF)には7兆米ドル近い資金が滞留しているため※10、短期金利の低下は金のようなゼロクーポン資産の支援材料になるでしょう。

 

【12/18(木) 『モンゴル不動産セミナー』開催】

坪単価70万円は東南アジアの半額!! 都心で600万円台から購入可能な新築マンション

次ページ利下げサイクルから、政策を慎重に見送る姿勢へ

【注釈】
*経済的な混乱時に他の投資の価値が下落しても、価値が安定または上昇すると投資家に認識されている資産は、「セーフヘイブン(安全資産)」と見なされることがあります。ただし、こうした資産が常に価値を維持するという保証はありません。

※1 ミシガン大学調査、2025年4月
※2 ブルームバーグ・ファイナンスL.P., ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ、LBMA、2025年5月
※3 ブルームバーグ・ファイナンスL.P., ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ、2025年5月
※4 ブルームバーグ・ファイナンスL.P., ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ、2025年5月
※5 ワールド・ゴールド・カウンシル、2025年4月
※6 ブルームバーグ・ファイナンスL.P., ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ、2025年5月.
※7 中国海関総署、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ、2025年4月
※8 LBMA、SGE、2025年5月
※9 国際金融協会、2025年3月31日
※10 米国投資信託協会、2025年5月20日25.
※11 ブルームバーグ・ファイナンスL.P., ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ、2025年5月31日時点
※12 ブルームバーグ・ファイナンスL.P., ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ、2025年5月31日時点
※13 ブルームバーグ・ファイナンスL.P., ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ、2025年5月31日時点
※14 ブルームバーグ・ファイナンスL.P., ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ、2025年5月31日時点
※15 米国議会予算局、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ、2025年5月31日時点のデータ
※16 米国議会予算局、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ、2025年5月31日時点のデータ
※17 ワールド・ゴールド・カウンシル、2025年5月
※18 ワールド・ゴールド・カウンシル、2025年5月.
※19 ワールド・ゴールド・カウンシル、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ、2025年5月
※20 ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ、2025年5月
※21 ワールド・ゴールド・カウンシル、グローバル需給トレンド、2025年5月.
※22 東京証券取引所、2024年12月31日
※23 ワールド・ゴールド・カウンシル、2025年2月
※24 グローバル需給トレンド、ワールド・ゴールド・カウンシル、2024年7月
※25 グローバル需給トレンド、ワールド・ゴールド・カウンシル、2024年7月
※26 グローバル需給トレンド、ワールド・ゴールド・カウンシル、2024年7月

【ご留意事項】
本資料は情報提供のみを目的として作成したものであり、金融商品取引法およびその他日本の法律に基づく開示資料ではありません。
本資料は、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ株式会社を含むそのグループ会社が提供する外国籍ETF等に関する情報を含む投資情報の提供を目的として、グループ会社により作成された資料を元に作成しており、投資の勧誘等を目的とするものではありません。本資料には、日本国内での募集の取扱い等に係る金融庁への届出等がされていない外国籍ETFに関する情報も含まれています。国内の金融商品取引所に上場していないETFについて、金融商品取引法に基づいた発行者開示は行われていません。
本資料は各種の信頼できると考えられる情報・データに基づき作成しておりますが、当社はその正確性・完全性を保証するものではありません。こうした情報は不完全であるか、要約されている場合があります。また、本資料に記載している各種情報・データは、特に記載のない限り作成時点のものでありこれらは市場動向やその他の状況等によって随時変動し、あるいは変更されることがあります。
本資料に記載している各種シミュレーション・データは、過去のデータに基づき当社モデルを利用したバックテスト結果であり、将来の運用収益を保証するものではありません。実際の運用収益はバックテスト結果から大きく異なる可能性があります。過去の実績は将来の成果を保証するものではありません。本資料内の意見は全て当社あるいはグループ会社の判断で構成されており、事前に通知することなく変更される可能性があります。なお、本資料中のステート・ストリートに関する記述には、ステート・ストリート・コーポレーションおよびその関係会社が含まれる場合があります。ステート・ストリートの関係会社は、本資料のETFに関するサービスを提供すると同時に、信託報酬ないしその他の報酬等を受け取ります。

<投資にかかるリスクについて>
ETFは、主に株式や債券などの有価証券、また金などのコモディティ、あるいはその他の資産に投資を行います。投資対象としているこれらの資産の値動きにより、ETFの基準価額が下落することがあります。これらの資産への投資には、市場リスク、金利リスク、カントリーリスク、信用リスク、為替リスク、流動性リスク等、様々なリスクがあり、ETFも同様のリスクが伴います。これらのリスク要因により、ETFの市場価格が下落する場合があります。その為、投資元本を割り込む恐れがあります。ETFは流通市場において株式と同様に取引されますが、取引価格は変動し、基準価額を下回ることがあります。また、常に取引可能であるとは限らず、市場環境が悪化している場合は、取引価格が大幅なディスカウントとなる可能性があります。ETFには上場廃止リスクがあり、純資産規模が縮小するなど、運用が困難になった場合や、上場取引所の上場基準に合致しなくなった場合、上場廃止となることがあります。これらは主なリスクであり、ETFへの投資に係るリスクはこれらに限定されるものではありません。
なお、コモディティETFやコモディティ指数連動証券は、市場全体動向の変化、金利の変化、および対象資産となるコモディティへの投機や裁定に係る取引活動に加え、天候や病気、通商条件あるいは政治や規制の展開の様な他の要因によって影響を受ける可能性があります。
コモディティ投資には大きなリスクが伴うため、すべての投資家に相応しいとは言えません。分散投資により利益を確保したり損失に対する保証が得られたりするわけではありません。

本資料に記載の各インデックスの著作権・知的所有権その他一切の権利は各インデックスを算出・公表している機関・会社に帰属します。過去の実績は、将来の投資成果を保証するものではありません。本資料の二次使用、複写、転載等を禁じます。

©2025StateStreetCorporation.
AllRightsReserved.
TrackingNumber:8096516.1.1.APAC.RTL
Exp.Date:6/22/2026

カインドネスシリーズを展開するハウスリンクホームの「資料請求」詳細はこちらです
川柳コンテストの詳細はコチラです アパート経営オンラインはこちらです。 富裕層のためのセミナー情報、詳細はこちらです 富裕層のための会員組織「カメハメハ倶楽部」の詳細はこちらです 不動産小口化商品の情報サイト「不動産小口化商品ナビ」はこちらです 特設サイト「社長・院長のためのDXナビ」はこちらです オリックス銀行が展開する不動産投資情報サイト「manabu不動産投資」はこちらです 一人でも多くの読者に学びの場を提供する情報サイト「話題の本.com」はこちらです THE GOLD ONLINEへの広告掲載について、詳細はこちらです

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録