物で溢れた部屋の片づけに熱中した妻
「なんで捨てたんだ……」
そう言った時の夫の顔が忘れられない。そう話すのは、神奈川県内で一人暮らしをする山田洋子さん(仮名・69歳)。半年前、夫の隆一さん(享年74)を病気で亡くしました。
病院で看取り、葬儀を終え、1人での生活に慣れていかなければなりません。ですが、夫のことを考えると、いつも後悔がよぎるといいます。
子どもたちはすでに独立。40年以上暮らすマンションには、夫の生前、物があふれていました。
もともと洋子さんは、物をため込みやすい性格でした。「安いから」と買った食器、通販で購入した健康器具、昔の服や紙袋。押し入れには“いつか使うかもしれない物”が積み重なっていました。
転機になったのは、洋子さんが図書館で借りた生前整理の本でした。「元気なうちに片付けないと、子どもが困る」――その言葉に強く影響を受けたといいます。
そこから、洋子さんの片付け熱に火が付きました。着ない服を処分し、古いバッグを売り、何年も使っていない食器も整理。部屋がすっきりしていくことに目覚めました。夫婦年金月23万円ほどの生活だったため、不用品を売って得られるお金は、1000円でも嬉しいと感じていたといいます。
過去にも洋子さんは、家計簿や節約術、健康食品など、何かに熱中してはしばらくすると飽きる。そんなことを繰り返していました。「今回も同じ」と、隆一さんが片付けに興味を持たなかったのは、そんな理由もあったのかもしれません。

