(※写真はイメージです/PIXTA)

不動産投資は節税効果も期待できる魅力的な投資ですが、ときには税務調査がやってくることも。特に、資産管理会社を設立する場合や、減価償却費の計算、経費の計上など、注意すべきポイントが数多く存在します。本記事では事例とともに、不動産投資における税務調査の実態と、よくある指摘事項とその対策について、元国税調査官で自らも不動産投資を行っているMK Real Estate税理士事務所の川口誠税理士が解説します。

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不動産投資家が税務調査で指摘されやすいポイント

上記事例は不動産を売却する際の譲渡所得の問題でしたが、不動産投資家は不動産所得の申告も行っています。そのなかで税務調査において指摘されやすいポイントとしては、以下のような項目が挙げられます。

 

収入の計上漏れ

家賃収入のみならず、一時的に発生する礼金、更新料が収入に計上され、さらには返還を要さない敷金も収入として計上漏れがないかどうか注意する必要があります。駐車場代、自動販売機手数料、看板広告収入などの副収入も忘れずに計上しなくてはいけません。

減価償却費の誤り

不動産の購入時に発生する仲介手数料や固定資産税精算金を取得金額に含めず経費処理していることがよく指摘されます。また、土地と建物の金額を計上する際に、契約書に記載された金額を理由もなく無視して独自の計算をしたり、按分計算が正確でなかったりすると税務調査ではたびたび問題になります。

 

さらに、修繕が行われた場合には、建物価値増加や耐用年数延長に該当する工事であれば資本的支出、そうでない維持管理目的で行われているような工事であれば修繕費と、その区分を適切に判断する必要があります。

 

経費計上の不備

不動産投資家は事業主というよりも個人の延長上で行っている感覚が強いので、プライベートの費用を計上しないように注意しないといけません。事業とプライベートの両方に関わってくる家事関連費を適切に計上する必要があります。車両に関する費用や自宅兼事務所の家賃、光熱費など、事業部分とプライベート部分を明確に区分せず全額経費としている場合は問題となります。

 

また、親族への給与は専従者給与としての要件を満たしていない場合には認められませんので、要件をしっかり確認するようにしましょう。

 

青色申告特別控除の誤り、借入利子の扱い

青色申告の55万円や65万円の特別控除を受けるためには、事業的規模で不動産投資を行っている必要がありますが、事業的規模に達していないにも関わらず、控除を受けてしまっていることがあります。

 

不動産投資の事業的規模とは、形式的な判断基準として、

 

・アパートなどの賃貸については、10室以上であること

・戸建などの賃貸については、5棟以上であること

 

などがそれにあたりますが、この規模に達していない場合は原則として10万円の控除しか受けることができません。

 

また、土地に係る負債利子は損益通算の対象になりませんが、これを含めている誤りが多いです。

 

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本記事は『アパート経営オンライン』内記事を一部抜粋、再編集したものです。

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