(※写真はイメージです/PIXTA)

冬季になると、気温の低下や降雪などの冬特有の条件によって、さまざまな問題が生じる可能性があります。ここでは、冬の賃貸アパート経営で起こりやすいトラブル事例を取り上げ、効果的な対策法と対処法について、不動産を専門に取り扱う山村暢彦弁護士が解説します。

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賃借人「エアコンを寒冷地仕様に変更してくれ!」

寒冷な地域のアパートですと、賃借人からエアコンを寒冷地仕様のものに変更してほしいと要求があった場合、オーナーとしては応じなければならないのでしょうか? ほかにも、カビや結露が発生しやすいのでなんとかしてほしいと要求があるケースも多々あります。

 

法的にどのような考え方で対処していくのかと、実務的にどのような段階を踏んで対応していくのか、実践的な解決方法をお話ししていきたいと思います。

 

法的には対応しなければならないのか?

まず民法上、賃貸人の義務としては、賃貸借契約は以下の条文に定められており、貸主側としては「ある物の使用及び収益を相手方にさせる」こと、すなわち貸す債務を負います。要は、賃貸借の目的に応じて、貸したものを利用できるようにして貸す、ということですね。

 

(賃貸借)

第六百一条賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うこと及び引渡しを受けた物を契約が終了したときに返還することを約することによって、その効力を生ずる。

 

たとえば倉庫として貸すのであれば、その際、どのような状態の倉庫として貸すのかを賃貸借契約の内容で定めておく必要があります。

 

頭の中でイメージしてもらいますと、①雑に扱ってもよい資材等を補完するために、単に雨風等をしのげる前提の「倉庫」を貸せばよいのか、②電子部品等を補完するために空調や温度等を管理できる設備を加えた「倉庫」を貸せばよいのか、このあたりは賃貸借契約の内容で定めておくということです。

 

さて、アパートの場合、当然居住できる人が生活できる程度の環境を提供する部屋を貸さねばなりません。その際に、どのような設備を前提として貸し出すかを定めておくのが賃貸借契約書です。

 

こちらも、まったくエアコンがないと冬のあいだ生活ができないほどの寒冷地であれば、エアコンが設置されている前提で貸し出す部屋もあれば、特にエアコンを条件にしていない前提で貸し出す部屋もあるわけです。

 

そのため、単に寒冷地だからという理由ではダメで、契約時にどのような設備の前提で貸した部屋なのかというのが法的な判断には重要となってきます。

 

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本記事は『アパート経営オンライン』内記事を一部抜粋、再編集したものです。

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