(※写真はイメージです/PIXTA)

中古アパート経営を行ううえで、昨今の日本における高齢化問題は切っても切り離せません。来年には、団塊世代(1947~1949年生まれ)が75歳以上の後期高齢者となる「2025年問題」が迫っており、超高齢化社会が本格化するといわれています。そして、高齢者の人口増加に伴い、アパートへの入居希望者も高齢者層も増加する可能性が高いでしょう。では、超高齢化社会に向けた中古アパート経営において、トラブルを回避し、成功に導くには、いまのうちからどのような準備をすべきなのでしょうか?法律事務所Zの溝口矢弁護士が解説します。

単身高齢者による賃貸需要の増加

日本の高齢者率は、2025年には30%程度にまでなるといわれており、3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上と、高齢者の数は増加傾向にあります。また、高齢者の世帯ごとの持家割合をみると、相対的に賃貸物件に入居する方は、単身高齢者が多い傾向にあります。

 

これらのことから、主に単身高齢者の賃貸需要の増加と高齢入居者特有の問題に対する対応策を講じることが、中古アパート経営において今後さらに重要なポイントとなると予想されます。

高齢入居者と契約する場合の注意点

高齢入居者の認知能力・健康状態の問題により、せっかく締結した契約が無効となってしまうケースや、短期で契約を終了とせざるを得ないケースがあります。また、高齢入居者の経済力の問題で契約後すぐに賃料の滞納が発生してしまったものの、転居先が決まらずなかなか退去してもらえないためにオーナーが苦労するケースも少なくありません

 

これらは契約内容等で未然に防ぐことが難しい問題であるため、高齢入居者と契約する場合には、オーナーや委託先の管理会社において高齢入居者の健康状態や資力、基本情報の把握に努めることが重要といえます。

 

また、高齢入居者の緊急連絡先や連帯保証人を確保することも大切です。高齢入居者側で対応していただける方がいると、さまざまな場面でスムーズに解決を図ることができる可能性が高まります。たとえば、単身の高齢入居者が入居中にお亡くなりになった場合に、ご親族へ連絡をとることができれば、その後の処理が容易になることは想像に難くないでしょう。

 

※このようなケースでは、地方自治体によって設けられている「住宅家賃助成金」や「転居費用助成金等の引越費用の助成制度」の利用をオーナー側から提案し、金銭的な問題をフォローすることで解決を促すことも考えられます。

 

単身の高齢入居者が死亡した物件を次に貸し出す際の告知義務

直前の入居者が物件内で自然死をした場合には、次にその物件を貸し出す際の告知義務は原則として負わないこととされています。そのため、入居希望者から質問を受けない限りは、自然死の事実を積極的に伝える必要はありません。したがって、高齢入居者を多く入れることを想定したアパート経営をされる場合に、告知義務の点では高齢入居者の死亡発生率の高さはリスクにはなりづらいといえます。

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本記事は『アパート経営オンライン』内記事を一部抜粋、再編集したものです。

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