(※写真はイメージです/PIXTA)

不動産投資は節税効果も期待できる魅力的な投資ですが、ときには税務調査がやってくることも。特に、資産管理会社を設立する場合や、減価償却費の計算、経費の計上など、注意すべきポイントが数多く存在します。本記事では事例とともに、不動産投資における税務調査の実態と、よくある指摘事項とその対策について、元国税調査官で自らも不動産投資を行っているMK Real Estate税理士事務所の川口誠税理士が解説します。

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税務調査で指摘された理由

Aさんが売却した簿価に問題がありました。簿価も時価として認められないわけではありませんが、減価償却費を計上したあとの未償却残高が低い場合には、時価を反映しているとは言い難い金額になることがあります。

 

個人から法人に不動産を売却する場合には、売買価格が時価の1/2より低いと、その差額に譲渡所得税が課税されます。売買価格が時価の1/2以上であっても、法人が個人の同族会社ですと、時価により譲渡したとみなされ、所得税が課税される可能性があります。同族会社だからこそできた、いわゆる同族会社の行為計算として否認されることがあります。

 

そして忘れがちですが、売主である個人だけでなく、買主である法人のほうにも影響してきます。法人は時価より低い金額で不動産を購入した場合には、税務上、時価との差額を「受贈益」として収益に計上する必要があります。法人税が課される可能性があるのです。

 

地方税法には、固定資産税の課税標準は固定資産の価格とされています。価格とは「適正な時価」と規定されているのです。税務署は、固定資産税評価額を基本として、必要に応じて不動産鑑定評価を行い、建物の時価を算定します。また、同族グループの管理を行うとともに、法務局から流れてくる不動産の登記情報に時価の情報を紐付け、申告が適正かどうかを確認しています。

 

第三者であれば、売主はできるだけ高く売りたい、買主はできるだけ安く買いたいという利害が反しますので、売買価額は適正額に落ち着くことになります。しかしながら不動産投資家自らが立ち上げた資産管理会社に不動産を売却する場合には、その利害関係が崩れるので、幅のある時価のなかで適正な時価を判断する必要があります。

 

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本記事は『アパート経営オンライン』内記事を一部抜粋、再編集したものです。

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